コレステロール値の上昇は心疾患にも

[教えて!ドクター] 2008/04/09[水]
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総コレステロール値220の場合、虚血性心疾患の発症率は200のときの1.5倍

20080410_draw1.jpgコレステロールは細胞膜の材料になり、人体にとってもともと不可欠なものです。1日当たり1.5~2g程度が必要とされ、そのうち肝臓などで約70%がつくられ、残りの約30%が食物から摂り入れられます。

「食物からのコレステロール摂取量は日によって多すぎたり少なすぎたりするため、肝臓はそれにあわせて合成する量を調節します。しかし、食物からの摂取量が増えすぎると血液中のコレステロール量は増加し、慢性的にコレステロール値の高い高脂血症(高コレステロール血症)に陥ってしまいます」(寺本教授)
コレステロールは脂の一種なので、大部分が水である血液にそのままでは溶け込むことができません。コレステロールの表面にリン脂質やアポたんぱくが覆い、「リポたんぱく」という粒子となって血液の中に溶け込んでいるのです。

実はコレステロールといっても、「低比重リポたんぱく(LDL)」と「高比重リポたんぱく(HDL)」の2種類があります。LDLはコレステロールを全身に運ぶのが主な役割で、過剰にコレステロールを運びすぎると動脈硬化を引き起こすことから悪玉コレステロールと呼ばれています。一方、HDLは全身の組織から過剰なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きを担っていることから善玉コレステロールと呼ばれています。

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「総コレステロール値は悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)を合計した数値です。現在、総コレステロールの適正域は200㎎/ dl未満ですが、200㎎/ dlのときの虚血性心疾患の発病者数を基準にすると、220㎎/ dlのときの虚血心疾患の発病者数は1.5倍、240㎎/ dlは2倍、300を超えると5倍以上に達することが判明しています」(寺本教授)
LDLの適正域は140㎎/ dl未満で、HDLの適正域は40㎎/ dl以上です。もちろん、LDLが多ければ多いほど、HDLが少なければ少ないほど虚血性心疾患の発病者数は増加します。

危険因子が重なって発症率が飛躍的に高まる虚血性心疾患

フラミンガム研究で明らかにされたもう1つ重要なことは、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は動脈の内側にコレステロール等の脂質などが付着してその内径が狭くなる動脈硬化が原因であり、動脈硬化の危険因子(リスクファクター)は高脂血症だけではなく、ほかのさまざまな危険因子と絡みあってそれを促進するという事実です。

「(1)高脂血症と(2)高血圧は動脈硬化の2大危険因子と呼び、これに(3)喫煙を加えたものを3大危険因子、さらに(4)糖尿病を加えたものを4大危険因子といいます」(寺本教授)

「ほかに(5)加齢(男性は45歳以上、女性は閉経後)、(6)心臓病の家族歴、(7)肥満、(8)運動不足、(9)過度のストレスなども危険因子とされ、危険因子が加わるほど「足し算」ではなく、「掛け算」で動脈硬化が促進され、虚血性心疾患の発病の危険性を高めることが明らかにされたのです。

たとえば、総コレステロール値が203~220㎎/ dlの場合、それだけなら虚血性心疾患による死亡率は1000人当たり約3人にとどまります。しかし、(1)高血圧(最小血圧が90㎜Hg以上)と(2)喫煙習慣という2つの危険因子が加わると、虚血性心疾患の死亡率はいっきに1000人当たり約17人、6倍近くに死亡率が跳ねあがってしまうのです。

「善玉コレステロール(HDL)の値が40㎎/ dl未満に下がると心筋梗塞の発病率は急上昇します。中性脂肪の値が150㎎/ dl以上になると、心筋梗塞の発病率は100㎎/ dl未満の人に比べて2倍以上になると報告されています」(寺本教授)
虚血性心疾患の発症を予防するためには、高脂血症だけでなく、高血圧や喫煙習慣、糖尿病など他の危険因子の存在もあわせて考えることが求められています。
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