女性の生き方を支える、ライフプランとキャリア実現のためのピル

[教えて!ドクター] 2009/09/04[金]
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oc_drtanebe03.jpg 「OC(Oral Contraceptives)」、日本では「低用量経口避妊薬」「低用量ピル」もしくは単に「ピル」といわれています。避妊のみならず女性特有のトラブルを解決する強い味方とも聞きます。

 今回は「女性クリニックWe! TOYAMA」の種部先生に、「女性の社会での活躍」に焦点を絞って、その有用性を教えていただきました。専門的な見地でその背景も具体的にわかりやすく説明していただき、とても勉強になりました。現代の女性は、もっと健康をシビアに考えなくてはならないのです。

 ちなみに、「女性クリニックWe! TOYAMA」の「We」には、「Women’s Empowerment(女性を元気づけること)」の思いが込められているのですね。

現代女性の困った健康問題

 日本の女性の生き方は、この50年で大きく変わりました。高等教育を受け、仕事を持ち、夢を実現するために自分育ての努力をする女性たち。かつては家庭を支えることが女性の役割とされてきたこの国でも、産業・経済や社会システムの中にDiversityを担う人材として女性が活躍するようになり、新たな発展を遂げたとも言えます。
 キャリア形成に費やす期間は5~10年。この国では、キャリア形成・継続と家庭や個人の生活の両立への支援が十分ではないこともあり、キャリアが確立し、そろそろ妊娠・出産をと思った頃にはすでに35~40歳ということも少なくありません。そうなると、いくらたくさん子どもを持ちたくても、産むことの出来る年齢の限界に達するまで時間が短く、せいぜいで1~2人産むのが精一杯。
 この状態は、実は、生物学的にはとても不自然なことで、その不自然さゆえに、現代の女性には困った健康問題が増えています。

キャリア形成と引き換えにしたもの

oc_drtanebe01.jpg 昔の女性は生涯に5~10回の妊娠・出産を経験していました。そして更年期になり、女性ホルモンが低下したあとの人生は、今よりも随分短かったのです。
 現代の女性は、昔の女性と比べて栄養状態が良く、初経を迎える年齢が早くなり、出産回数は1~2回と少なくなりました。そうすると、妊娠・出産・授乳によって月経が止まっている期間が相対的に短くなり、昔の女性が生涯に経験した月経回数(50回ぐらい)にくらべ、月経の回数は約10倍に増え、生涯で450回の月経を経験することになりました。
 現代の女性が当たり前だと思っているこの状態が、生物学的には大変不自然なことなのです。月経は健康の証拠と思われがちですが、妊娠に結びつかない排卵と月経が450回もあることで、結果的に卵巣癌や子宮内膜症の発生率が高くなり、また出産という「子宮の大掃除」が減ったために子宮体癌の発生率も高くなりました。しかも、産むことを考える年齢に至るまでに多くの月経が繰り返されていることから、いざ妊娠を希望するころにはすでに子宮内膜症を発症し、なかなか妊娠にたどりつかないこともあります(子宮内膜症を発症すると妊娠しづらいことがわかっています)。
 キャリアを形成し、夢を実現するために、経験する月経の回数が増えるのですから、引き替えに病気のリスクが高くなることはとても残念なことです。

自分の人生を自分でデザインする

oc_drtanebe02.jpg ピルには、子宮内膜症の進行を抑制し、卵巣癌と子宮体癌の発生率を下げる効果があることが、これまでに積み重ねられた多くのデータで証明されています。つまり、避妊以外に病気の予防ができるという、大きなメリットがあるのです。避妊は必要だけれどピルまでは・・・などと考えている方にも、「キャリアと健康の両方を手に入れるためにピルを使う」と考えて欲しいと願っています。
 キャリア形成の途中で予期せぬ妊娠・出産があると、この国ではまだキャリアの変更を余儀なくされる可能性があります。若く体力があるうちに産みたいだけ産み、子どもを持ってからも継続してキャリアを向上させることができるような社会であれば、女性は自分の人生をデザインし、もっと積極的に産むことを考えられるようになるでしょう。社会インフラや意識改革も重要ですが、家庭や子ども、そしてキャリアも手に入れ、かつ現代女性に課せられた健康問題も解決するために、ピルは現代女性を支援する大切なツールであると考えています。

種部 恭子先生 医療法人 社団 藤聖会 女性クリニックWe! TOYAMA

種部医師

富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒。女性のからだと心と生き方の健康を支援するクリニックを目指し、平成18年より女性クリニックWe! TOYAMAの院長に。
「We」は「Women’s empowerment」の略でもあり、「わたしたち」の意味でもあります。
女性の生き方を応援するためにピルが必要であることを、日々訪れる女性たちに語っています。性教育をはじめ、生涯を通じた女性の健康について講演・啓発活動も積極的に行っています。


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