アラ?現象に要注意!脳は鍛えるだけでなく栄養補給も大切

[教えて!ドクター] 2008/09/09[火]
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脳トレブームも一服した感があるが、かつては電車の中で携帯ゲーム機を使って多くの人がチャレンジしていたのは記憶に新しい。
とはいえ、世の中が便利になればなるほど、脳の衰えを実感することも多い。例えば、覚えている電話番号を5つ挙げなさい、と言われて、スラスラと出てくるだろうか?昔は電話番号の5つや6つは覚えていたものだが、最近は携帯電話を使うようになってからは、みんなメモリーに入っているので、中々思い出せない事も多い。
また、人の名前や漢字が思い出せず、苦労した経験も一度や二度ではない。
こうした、ちょっとした物忘れを『アラ?現象』というらしい。ただの度忘れだよ、と簡単に考えてしまいがちだが、頻度が多くなると、自分はもとより、家族や周りが心配しだしてくる。やはり体は健康でも、仕事や人生を楽しむためには脳がしっかりしてなくては、本当に楽しめない。
古賀良彦先生というわけで、今回の特集はズバリ「脳」。特に記憶力について掘り下げます。

今回、杏林大学医学部教授の古賀良彦先生にいろいろ伺いました。先生は、日本抗加齢協会理事、日本臨床神経生理学会理事もされるなど、この分野では第一人者でもあります。

記憶力などの低下に伴って発生する『アラ?現象』は脳の衰えを示すサイン

編集長:感覚的には加齢によって記憶力が落ちるのは理解できるのですが、そもそも、『アラ?現象』とはどういう現象なのでしょうか?

古賀先生:脳は数多くの重要な役割を担っていますが、その主な機能は「認知・判断・行動」です。そしてこの中の「認知」の軸となるのが「記憶」です。しかし残念ながらこの「記憶力」から脳の衰えがはじまります。またこれに加えて、記憶力を補完する意欲や注意力も衰えてきます。『アラ?現象』はまさにそのことを示しています。
『アラ?現象』は、脳の衰えを示すサインと言うことができます。このことはもっと多くの人に知ってほしい事実です。

編集長:なるほど、歳をとってくると、何事も億劫になるのも、もしかしたら「脳」の衰えが原因かもしれないわけですね。少し心配になってきました。どうやったら脳の衰えを予防できるのでしょう?

古賀先生:脳の衰えを防ぐには、次の3つが重要になります。それは「脳を守る」「心を元気に保つ」「活動的に過ごす」ことです。
「脳を守る」ためには、脳の神経細胞に栄養を送る血管と、神経細胞そのものを守ることが重要になります。また「心を元気に保つ」「活動的に過ごす」ためには、生活上の様々な問題を防ぎ、ストレスを減らしていくことが大切になります。

脳の機能低下は40代から、脳の萎縮が始まってからでは遅い

編集長:幸い私はまだ両親が健在です。今は大丈夫だと思いますが、この先が心配です。自分自身は、脳が衰えるというのは正直まだ実感がわかないのですが、脳の衰えはどれくらいの年代から始まるのでしょうか?

海馬のリン脂質中のアラキドン酸(ARA)・DHA量古賀先生:脳の機能の低下は一般的に40代からはじまり、60歳前後にはそれが障害や症状として現れます。脳のなかで記憶を司るのは「海馬」という部位です。海馬は50代、60代で萎縮がはじまります。しかし海馬の萎縮がはじまってからでは対策は打てません。そのため40代から「脳を守る」ことを意識してほしいと思います。
また両親の『アラ?現象』増加に対する不安の理由は両親が自分よりも高齢であることに加えて、介護や高齢者医療の現状に対する不安もあるのだと思います。
「脳の健康」のためには、まず食生活を見直してほしいと思います。具体的には脳を構成するアラキドン酸やDHAなど「よい油」が必要です。しかしカロリーが気になる、また食習慣を変えにくいなどの理由で食生活の見直しが難しい場合には、アラキドン酸やDHAのサプリメントの活用もおすすめです。

女性は更年期前後からのケアが特に重要

編集長:例えば、脳の疾患で、アルツハイマー病は女性の方が比較的多いと言われていますが、脳の衰えにも性差はあるのでしょうか?

古賀先生:女性にアルツハイマー病やうつ病が多い背景に、女性ホルモンの存在が指摘されています。女性ホルモンのエストロゲンが脳の働きをバランスよく活性化し、記憶を司る「海馬」の機能を高めたり、脳に現れる老人斑を抑制する可能性があるのです。
女性ホルモンのバランスが乱れる更年期の前後には、病気ではありませんが、体の不調を感じやすくなります。その一方、実は脳の健康も衰えはじめる時期でもあるのです。そのため、特に女性は更年期の前後から、体の健康に対する意識とともに、脳の健康に対する意識も高めてほしいと思います。

うつにも効果アリ? 脳の構造を守るアラキドン酸とは?

編集長:脳の衰えを示すサインである『アラ!現象』についてよくわかりました。ただ、脳の衰えによって痛みのようなシグナルがあるわけではないので、なかなか気がつかない人も多いと思います。現代科学で脳の衰えを遅らせるような事は出来ないものでしょうか?

古賀先生:脳の健康維持のための対策を行っている人が少ない理由は、体の健康が損なわれたときには痛みや不調などが現れますが、脳の不調は症状としてわかりにくいためだと思います。だから自分事として対策の必要性を感じる人は少ないのでしょう。「人の名前が出てこない」、「知っている漢字が書けない」など『アラ?現象』が脳の衰えのサインです。『アラ?現象』を実感している人は、脳の健康のための対策をぜひ行ってほしいと思います。
高齢になると体を動かすことは行っても、脳を意識して使う人は少ないと思いますが、体を動かすことと同じように、脳を動かすトレーニングを行ってほしいと思います。そして加齢とともに脳の萎縮が進んでしまうため、脳の構造と機能を支えるものを積極的に摂る必要があります。その筆頭が、必須脂肪酸のアラキドン酸とDHAです。

編集長:つまり、鍛えるだけでなく、脳の栄養補給も大切という事ですね。お話にあったDHAはよく聞きますが、アラキドン酸というのは、聞きなれないですね。どういう物質なのですか?

古賀先生:アラキドン酸は、毎日の食事によって補給する必要がある必須脂肪酸のひとつです。アラキドン酸は脳の神経細胞を作る材料になるため、脳の構造を守ります。そしてそれにより、脳の機能を向上することが、私たちの研究などで明らかにされています。またアラキドン酸を摂取することでうつ症状が改善され、覚醒時の活動量が増加することもわかっています。つまり、アラキドン酸は「脳を守る」「心を元気に保つ」「活動的に過ごす」うえで、脳の健康維持に寄与する可能性が高い成分なのです。
アラキドン酸は近年、優れた製法が開発されて安定供給できるようになった成分です。そのため機能性の研究が進み、新たにサプリメントという選択肢も生まれました。脳への栄養補給としてサプリメントを用いることも有効な手段だと思います。

編集長:貴重なお話ありがとうございました。

なかなか情報が少ないアラキドン酸ですが、サントリー健康科学研究所のサイトが分かりやすく解説している。
サントリー健康情報レポート

同サイトによると、アラキドン酸は、肉類(特にレバー)や卵などに多く含まれているとのこと。しかも、歳を重ねるにつれて脳内のアラキドン酸量は減少してしまうので、“脳の若さ”が気になる年代になったら、意識して摂取する必要があるそうです。

折りしも9月15日は敬老の日、両親やおじいちゃん、おばあちゃんに送ってみたらどうだろう?

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