最近の痔の治療法について
第3話-その3
QLife:次に、痔の治療法についてお伺いします。やはり「切って手術する」といった怖いイメージがとても強いのですが・・・
先生:痔という症状、特に痔核は、患部が大きくなってしまったり出血することが多いので、「肛門科で診察を受けたらすぐ手術される」と思われる方々が大変多いですね。ですから、「入院するから仕事に支障が出て大変だ」とか、「痛い痔を切るから、さらに痛いんじゃないか」と思い込んでしまい、市販薬を買って対処されている方が多いのではないでしょうか?でも、肛門科での痔の治療のほとんどは外科的治療ではないということを知っていただきたいと思います。当院にいらっしゃる患者さまの約85%は保存療法による診療になっています。
QLife:保存療法というのは、痔になりやすい生活習慣の改善や、外用薬での治療ということですか?
先生:そうですね。あくまで病状の進行度によるのですが、すぐ手術しましょうと言うことはまれです。仮に言われたとしてもよほどのことがない限りそれは医師からの提言、という意味合いです。ご自分で十分に考えていただき、他の治療も考えた上で選択していただけます。
QLife:治療法を選べるのですか? あまり聞かないので、すごく興味深いです。
先生:そうですね。ちょっと変わっているかもしれません。ただ、幸いにも痔は死に至る病ではありませんから、患者さまご自身が「とりあえず様子を見よう」とか「一気に根治したい」など、病気とのつきあい方を考えることができるのです。ただ、そういった判断をしていただく前に、とにかく専門医である私たちの診察を受けて、正しい情報を得てから判断していただきたいです。
QLife:施術後のケアについても気になるところですが・・・
先生:痔の施術後は、まず施術した次の日と便通が始まった日に状態を見せてもらいます。その後は、経過を見るために週に1回程度の感覚で、1、2度見せていただきますが、通常1ヶ月もあれば終わってしまいます。
「そうだな」とすごく頷けるお話を岩垂先生から伺えました。やっぱり、自分ひとりで悩むよりも専門医の意見を聞いて痔との付き合い方を決めるほうが確かに安心感はぜんぜん違いますよね。
さらに、今話題の「内痔核を切らずに注射する治療法」についてもお伺いしてみました。
先生:3年ほど前から行われている「脱出する内痔核」を改善する治療法で、最近では「ALTA(アルタ)療法」といいます。従来では切って治すしかなかった症状でも、ALTA療法が適応できれば患者さまの身体的・精神的負担を大幅に軽減できる点で注目されていますね。
具体的には、大きくなっている痔核の4カ所(図の①~④)に薬液を注射し、硬化退縮させます。
小さくなれば切る必要もありませんから入院期間も短縮できますし、痛みもほとんどないので、患者様のメリットは大きいと思います。
この投与法は「四段階注射法」と言われていて、高度な手技のため、手技講習会を受けた医師の在籍する施設にのみ使用が限定されています。
QLife:肛門科であればどこでも受けられるということではないのですね。
先生:そうです。ALTA療法が世に出るにあたり、当手技の適切な普及を主目的として「内痔核治療法研究会」が設立され、講習会が運営されています。 現在、私が代表世話人をつとめておりますが、各地区を代表する肛門科が専門の先生方を世話人に迎え、ALTA療法に要求される医師の技量・経験レベルを十分協議のうえ定めておりますので、安心して実施施設にて受診いただければと思います。
QLife:最後に先生からのメッセージをお願いいたします。
先生:痔は、直立歩行する人間だからこそかかりやすい、一種の運命的な病です。ですが、どんなふうに治療していくか、自分なりのスタンスでつきあっていける病気でもあります。ですので、専門家の私たちの意見を聞きに、積極的に診察を受けていただくことが大切だと思います。
岩垂先生の丁寧なご説明で、痔の治療の様子や最新の治療法の細かなところまでしっかりと理解することができました。岩垂先生、ありがとうございます!
痔の治療もずいぶん進歩しているんだなあと驚きました。
取材を終えて、更に痔の治療法についての情報を集めてみたところ、「ALTA治療」で使われているお薬は、なんと!沖縄で創成されたお薬とのこと!
このお薬はどのようにして生まれ出たのか…と大変興味が湧きました。きっとそこには、素敵なエピソードが隠れていそうです。そこで次回は、なんと沖縄へ突撃取材を敢行します!お楽しみに。
岩垂純一先生プロフィール:
専門は大腸肛門疾患。社会保険中央総合病院時代には年間2000例以上の肛門手術を執刀、外来診察は1日150~200名を数える。退職後は理想的な肛門の診察と治療の実現を目指し、自身の診療所を銀座に開設。日本大腸肛門病学会監事・評議員・指導医・専門医、内痔核治療法研究会代表世話人。医学博士。平成17年に第60回日本大腸肛門病学会総会会長を務めた他、テレビや講演などでも活躍。著書多数。
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実際に検索された医療機関で受診を希望される場合は、必ず医療機関に確認していただくことをお勧めします。口コミは体験談です。当サービスによって生じた損害についてはその責任の一切を負わないものとします。病院の追加、情報の誤りを発見された方はこちらからご連絡をいただければ幸いです。
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