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[クリニックインタビュー] 2011/01/28[金]

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2008年12月4日の第1回から早いものでおよそ2年。医療人の連載は、先週1月21日分の掲載でなんと100回を迎えました。これまで本当にさまざまなエピソードを連載でご紹介してきましたが、今回は過去50 回分を振り返って、その中でもアクセスの多い人気エントリーの回から、印象深いトピックを再度ピックアップいたします。

※こちらは後篇です。
医療人連載100回記念! 人気エントリーから探る「先生の想い」(前編)を読む

 町で開業されているお医者さまは、すべて大学卒業後、どこかの医局で研鑽を積まれたのちに、それぞれの想いを持って独立開業されておられます。医師になろうと決心したときと同様に、開業されるときの想いも強かったはず。皆さん、時には率直な言葉で心情を語っていただきました。

「はじめまして」ではなく「こんにちは」と言いたい

 「今までいろいろな大学病院をまわってきましたが、ずっと感じていたのは『ベルトコンベアーのようなお産が多い』ということ」と、ある意味ストレートに仰ったのは赤枝医院の赤枝朋嘉先生(第52回 「はじめまして」ではなく「こんにちは」と言いたいです。歯に衣着せぬ言葉のあとで、しかし現場を知っている者として「赤ちゃんは24時間365日ずっと生まれてくるけれど、医師も、出産できる施設も不足している。でも、私自身はそうしたくないと思っています。女性にとって、出産は一生のうちの一大イベント。だから私も、担当する方のお顔をちゃんとわかったうえで、それぞれの出産を大切にしてあげたい」と現状を前向きに打破したいという想いを語ってくださいました。その一方で、赤枝先生は産婦人科を専門としたばかりの時のことを「甘かった」とも述懐しておられます。「研修では、産科なら、赤ちゃんが無事生まれました、おめでとう、婦人科なら、治ってよかったね、という幸せな部分ばかりを目にします。しかし実際に医師として仕事を始めると、辛い部分もたくさん見なければなりません。出産が無事に終われば幸せですが、もし赤ちゃんやお母さんが亡くなったりすれば、天国から地獄に変わります。それほどニコニコしていられない、厳しい職業だとわかったんです」と当時を振り返り、「今私は、常に悪いことや、予期せぬことを防がなければと気が張り詰めています。そのため赤ちゃんが無事に生まれたときの気持ちは、“喜び”よりも“安心”です。一日の終わりに、ああ、今日も一日無事に過ごすことができたと感謝する、そんな毎日の積み重ねなんです」と、毎日感じている重圧を率直に話してもくださいました。

「静脈瘤治療」との出会いが、新たな道を拓いた

 別の重圧に苦しみ続けた後に、新しい視点を見つけ開業した先生もいらっしゃいます。心臓血管外科を専門とし、医局時代は重い症状の子供たちなどに向き合ってきた大宮セントラルクリニックの外山聡彦院長です(第87回 「静脈瘤治療」との出会いが、新たな道を拓いた。先天性の心臓病を抱えている子供たちを診ていらっしゃいましたが、先天性の場合、完全に病気が治るところまでたどり着かず、治療の途中で亡くなってしまう子もいるそうです。何の罪もない子供たちが苦しみ、亡くなっていく姿を見るのはとても辛く、当時救急救命も担当していたこともあって、「もう人が苦しむ姿、亡くなる姿を見るのはたくさんだ」とまで思い詰めるほど精神的に苦しまれました。そんな中、現在専門としている静脈瘤治療を知り、「これなら、患者さんに辛い思いをさせることなく、患者さんの目に見える形で治療することができる」と意義を見いだし開業を決心されます。「今、目の前にいる患者さんに心から誠実になれなければ、他の誰にも誠実になることはできません。僕にそのことを教えて下さったのは、今まで出会った先輩・後輩たちです」と語る外山先生の言葉には、抗えないような辛い状況の中でも培ってきた、想いの強さを感じました。

地域医療の質を上げる、その思いを貫きたい

 日本の医療界、という大きな視点から独立を決意されたのは、池田耳鼻咽喉科の池田麻子先生です(第79回 地域医療の質を上げる、その思いを貫きたい。ご自身が医局時代に痛感しておられた、大病院へ患者さんが集中する状態を改善する手段として、お母様の医院を継ぐ形で独立を選ばれました。「この現状は患者さんにとっても良くないし、医師にとっても非常に過酷なものなんですよね。医師たちは一人一人、患者さんのためにと頑張っていますが、でも、医師だって人間。ざっくばらんに言ってくたくたな訳です」と、医局で体験されていた状況を正直に吐露され、「地域の医院が、もう少し進歩していかなければならない。地域の中のいわゆる“かかりつけ医”が今より1段か2段高い診療範囲を受け持てるようになれば、何でもかんでも大病院へ、という現状を変えることが出来るはずです」と熱く語ってくださいました。

いつまでも、粋で格好いい医者でいたい

 それとはまったく別の考え方で、「患者さんのために一生懸命などと野暮なことは言わずに、何気なくやっているように見せて、あとから見たらよくなっていた、というのが理想」と、ご自分の理想の診療である「粋に、カッコよく」を解説してくださったのは川口あおぞら眼科の清水潔院長(第91回 いつまでも、粋で格好いい医者でいたい。もちろん単に自身の見え方だけにこだわっておられるわけではなく、「医療の正義とは、医師の正義でもなければ、病院の正義でもなく、患者さんの正義が医療の正義」「あなたは患者さんのために何ができますか? それを全部やりなさい」といった、医局時代の恩師の言葉を披瀝されるなど、あるべき医療の姿についての一家言ももちろんお持ちでした。

現代女性よ、「男女平等」にご注意

 一家言といえば、患者さんに対してもこうあって欲しい、と敢えて語っていらっしゃったのは、よこすかレディースクリニックの横須賀薫院長です(第66回 現代女性よ、「男女平等」にご注意。「お金を払っているんだから、さっさと治してよと言う人もいる」と指摘しつつ、「患者さんと医者は同志なのだから、対等の関係であるべき」と、一緒に病気を治していく姿勢でいてほしい、という考えをお話されていました。また、さらに「最近は何でも男女平等にしたがる女性が増えていますね。社会的なことは平等でいいと思うけれど、お酒やタバコまでは…」と産婦人科医の視点からしっかりと「ダメ出し」。言葉自体は一見角がたっているようですが、横須賀先生ご自身は物腰柔らかな方で、気軽に話し合えそうな雰囲気。ご自身も語っているように、患者さんからはよく「先生にはなんでも話せる」と信頼をいただいているそうです。だからこそ、ちょっときつめの苦言でも、受け入れられているのかもしれません。

 日頃診察時しかお話する機会のない町のお医者さまですが、こうしてご紹介したように、開業される前も後も、そして今も、他のお仕事の場合と同じようにいろいろと悩まれながら、それぞれの想いを持って診療にあたられています。取材をさせていただくたび、スーパーマンのように思われがちなお医者さまも、ひとりの人間なのだなと当たり前のことですが実感させられます。きっと、皆さまの地域のお医者さまも同じではないでしょうか。
 おかげさまで、これまで100人のお医者さまをご紹介できましたが、まだまだご紹介できていない地域、先生がたくさんいらっしゃいます。これからも、できるだけ多くの地域のお医者さまの素顔をご紹介していければと思っています。どうぞ、今後の『医療人』もよろしくお願いします。

医療人の顔ぶれ 第76回~第100回





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今回のアンケートは、
医療人の中で一番印象に残った先生は?』です。

応募は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。

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