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[クリニックインタビュー] 2011/02/25[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第104回
ひらいクリニック
平井今日子先生

「病院に行くと病気がすぐ治った」という原体験

 自分が医師になろうとしたきっかけは3歳の時。確か風邪で近所の病院に診察を受けに行ったのですが、とにかく「すぐに治った」のをいまだによく覚えています。それで「医者ってすごい」と幼心に思ったのが原体験で、ずっと医師になるのをあこがれていたという記憶があります。
 そして中学2年の時本気で医師になることを決めて、翌中学3年でそれまで通っていた私学から公立に転校しました。幼いころのあの原体験と合わせて、当時、女性が自立して働くことができる仕事は限られていたので「女性で生きていくには医師しかない」と強く思ったのです。ちなみに、自分の家族は医師の家系ではまったくありません。
 その後医学部に進学して、最初は救命救急を志望しました。なぜかというと、もし戦争が起きたり災害が起きたりしたら、とにかく緊急時に最も役に立つ医師でありたいと思っていたからです。
 でも結局、第一外科に進みました。救命救急への入局が決まっていたものの、医局ができなかったんですね。ただ第一外科では、女性が乳がんを見た方がいいと乳がん診療を勧められて、乳がんの複合内分泌療法で博士号を取得しました。

「自分の力で病気を治すこと」のきっかけづくり

 大学を卒業してから25年あまり、患者さんを診察する時にずっと心がけていることは、患者さんが「自分自身で治すこと」です。たいていの病気は、薬に頼るよりも自己治癒能力を生かすことがなにより一番と考えています。たとえば、仕事上のストレスで病気になったとします。そこでの人間関係に原因があるかもしれないし、会社での生活になにか原因があるかもしれない。仕事に対する考え方をちょっと変えるだけでコロッと治ることもあるわけです。ストレスはむしろあったほうがいい。何もストレスがないと言っている方がある意味、あぶないと思います。あれはダメ、これはダメと自分で決めつけてしまうことがいけないんじゃないでしょうか。
 医師の存在はあくまで“病気を治すためのきっかけづくり”。できる限り、自分の力で治すことが大事。極端な話、医師は24時間患者さんにつきっきりにはなれませんから。
 先日、便秘に悩んでいる30代の方が診察に来られました。話を聞いているうち、トイレの便座に反対向きに座り続けていたことがわかりました。信じられないような話かもしれませんが、内容的には他人に聞きづらい話ですから、本人では気づけないですよね。一般的な向きに座るようにしたら、すっかり治ったそうです。

院内で「昭和初期」の雰囲気づくり

 2010年10月、このクリニックを開院しました。実はたった2、3ヶ月で立ち上げたんです。短期間だったので、開院するにあたってはたくさんの方にご協力いただきました。
 クリニックに初めて来られた方は、病院のイメージとはまったく違うのでビックリされるかもしれません。わかりやすいイメージとしては、昔はどの街にもあったであろう“銭湯”のような感じ。フラッと気軽にたずねてきてもらえる、人が自然と集まるようなそんな雰囲気作りを目指しています。なぜ昭和初期なのかというと、昨今乳がんの患者さんが増え、糖尿病の透析などが増えているのは、戦後の日本がアメリカナイズされた影響で和食よりも欧米の食べ物をよく摂るようになったのが大きな原因の1つといわれています。これらはもちろん、昭和初期にはほぼなかった食事です。日本人のこういった食生活の変化が、ある意味で病気を増やしていると言えるかもしれません。
 また先日、クリニックの待合室を使って、書道や着付けのショー、そして、ニュージーランド人の友人を招いてライブを開きました。クリニックだけでは知り合えない、さまざまな方々と交流できるきっかけができました。またぜひ企画したいですね。
 もともと自分自身の趣味も多いほうかもしれません。先に述べた音楽は、大学時代にバンドでヴォーカルを務めていましたし、書道と着付けは結婚後に習いはじめて師範の資格を取りました。さらに最近、スノーボードにもはまっています。よく行くのは、私の“師”がいる石川・白山市や新潟・赤倉温泉。すでに2級の資格を持っていますが、今年中に1級の資格を取得したい。そして、小学生をスキー場に連れていって滑らせてあげたいですね。

尊敬する人物は“アインシュタイン”

 自分が尊敬する人物はというと、「相対性理論」で有名なアルベルト・アインシュタインです。なぜかというと、アインシュタインについて知れば知るほど、自分と考え方や性格などがとても似ているからです。診察室に置いてある『アインシュタイン 150の言葉』(ジェリー・メイヤー、ジョン・P. ホームズ 編、ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)は、自分にとってまさにバイブルです。
 最後に、これからも多くの患者さんや医療関係者の方々らと接するにあたり、特に自分がこだわりたいことは「約束を破らないこと」「信念を曲げないこと」そして「人を大事にすること」の3つです。当たり前のことかもしれませんが、まだ自分のクリニックを開設してから日が浅いので、できることからコツコツとがんばっていきたいです。

取材・文/飾磨亜紀(Aki Shikama)
関西を拠点に活動するライター/編集者。得意分野は人物インタビュー(スポーツ選手・文化人ら)。全国および世界各国を旅する経験も活かし、グルメ・観光紹介も多数行っている。

ひらいクリニック

医院ホームページ:http://hirai-clinic.org/

大阪・心斎橋の繁華街にあり、地下鉄御堂筋線心斎橋駅下車徒歩5分ほど。公共交通機関での来院がおすすめ。同じビルにイタリアンレストランがあるなどおしゃれな飲食店やブティックが多いエリア。待合室にはアンティークな家電や着物などを飾りつつ、診察では電子カルテなどを導入している。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

肛門内科、内科、消化器内科

平井今日子(ひらい・きょうこ)院長略歴
1986年 近畿大学医学部卒業、近畿大学第一外科
1987年 近畿大学救命救急センター
1988年 PL病院 外科
1989年 近畿大学第一外科
1993年 泉北陣内病院 外科
1996年 暁美会田中病院 外科
2000年 平井医院
2010年 矢木脳神経外科病院 総合診療科
2010年 ひらいクリニック開設


■所属学会
日本外科学会、日本消化器外科学会、日本乳癌学会 日本大腸肛門病学会、日本乳癌検診学会、 日本内分泌外科学会、日本癌治療学会


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