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[クリニックインタビュー] 2011/08/05[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第119回
加賀耳鼻咽喉科クリニック
加賀達美院長

父に反発し、一度は文系に進む

 神田神保町に大正6年から続く医者の家に育った私は、耳鼻咽喉科医だった父の診療方針に納得できず、医師になろうとは思っていませんでした。そのため高校卒業後は、迷うことなく文科系学部に進みました。
 ですが、学業の成績があまり芳しくなく、大学1年が終わる春、父に呼び出され、「今後は小遣いを渡さない」と小遣い無しにされてしまったのです。何とかしなくては……と思った私は、本気でなかったにもかかわらず「医学部を受験しようと思います」と口走ったところ、父は大喜び! また小遣いをくれるようになりました。私は、後に引けなくなり大学に通いながら医歯薬受験予備校に通い始めました。
 1年後、父の思惑通り? 医学部に入学しました。今、思うと、歯科医だった祖父の代から数えて私で三代目。父と同じ耳鼻咽喉科医になることは、DNAに組み込まれていたとしか思えません。

勤務医時代の苦い経験から治療方針を決定

診察室のある2階へは、エレベーターで

 昔は、患者さまの各々の状態などまったく考えず、待ち時間1時間は当たり前、やっと治療の順番が回ってきたら「毎日通って下さい。ちくのう症です。忙しいので病状の説明などはしてられません。」と、3分診療で終了。そのような傲慢な開業医がほとんどでした。これは私が勤務医の頃、お手伝いに行っていた10数軒も同様で、私は決してこういった診療体制を取りたくないと思い、自身の治療の心がけとして次の二点を特に気をつけるようにしています。
 一つ目は、快適に診療を終えてクリニックを後にしていただくように努めること。具体的には、どなたにでも礼儀正しく接し、予約制で待ち時間を減らす。診療においては、患者さまが痛くなく怖くもない状態で検査や処置を行い、病状の説明には図やモニターを使用しながら分かりやすい説明を心がけるということです。院内感染が無いように留意することも、この中に入ります。ただ実際は、スギ花粉症の時期には予約時間が長時間押すこともありますし、診療に関して患者さまと意見が合わない事もあり、横綱・双葉山の名言「未だ木鶏たりえず」の心境です
 二つ目は、患者さま各々のご要望や環境を考慮すること。たとえば副鼻腔炎の疑いがあっても、徹底的に検査してほしい方もいらっしゃれば、検査は不要で、とりあえず初診1日で治してくれればいいという方もいらっしゃいます。そのどちらが希望なのかをお聞きし、ご要望に添うようにしています。検査代や処置代の医療費が高いと思われる際は、事前に説明しています。
 耳鼻咽喉科医でも、その中で色々な専門がありますが、耳鼻咽喉科の範疇は、耳・鼻・喉・舌・アレルギー・めまい・頭頸部腫瘍などです。私は勤務医時代、耳科学を専攻し、耳手術(鼓膜形成術・鼓室形成術)を主に勉強してきました。師は、現・茅ヶ崎中央病院名誉院長、東海大学医学部名誉教授の坂井 真先生です。先生は、往年は俳優さん顔負けの、今でいう超イケメンでいらっしゃり、鼓室形成術や医学英語、女性に対するスマートな接し方も先生に学びました。しかしそのすべてに関して、私は当然足元にも及びません。残念ながら、開業した今では、手術はほとんど行っていませんが、当時のこの経験が、鼓膜上異物除去などの細かい手技・操作に役立っています。

史跡めぐりとグルメが楽しめる旅行が好き

診療器具はすべて高圧滅菌したものを使用している。耳や鼻に薬をつけるために使う綿棒も完全滅菌している

 もし医師でなかったら、日本史が好きだったので、歴史の教師になって夏休みに史跡めぐりがしたかったです。今も、史跡とおいしいものがある場所には目がなく、旅行先を決める時は何があっても最優先です。
 趣味は食べることとスクーバダイビングと言いたいのですが、ダイビングはかれこれ5年ほどやっていません。運動不足が原因なのでしょう、いつだったか両手両足腹筋が同時に「つった」ことがありました。呼吸も苦しくなり死ぬ思いでした。
 最近は、毎朝ラジオ体操の簡略版と、ストレッチをしています。胃全摘手術を受けてからは、下痢しやすくなったため、ゆっくり時間をかけて食べるように心がけています。食べることは手術を受けてから、かえって執着が強くなったように思います。近日、「人生最期の日に食べたい10品」を決めたいと思っています。

患者さまの満足を追求し続けたい

薬液逆流防止型ネプライザー

 耳鼻科開業医は、各科開業医側から見ると、立ちっぱなしで「重労働」、「医療費が安い」、たくさん診察しないと収入があがらず「患者さまがいつも多い」という三悪の科と言われているそうです。当クリニックは、予約制なうえに、初診は20~30分かけるので、患者数は他の耳鼻科医院に比べて極めて少ないと思います。年収も平均より極めて少ないでしょう。ですが、患者さまの症状を落ち着いてお聞きするために必要な診療時間を確保することは、これからも続けていきます。満足を追求していくことは何にも代えられないからです。

取材・文/ハギワラアキコ
PCインストラクターを経てライティング・編集の世界に入り早15年。女性向け実用書、生活、医療、IT関連の取材・執筆が得意で、書籍、雑誌、メルマガなど幅広い媒体で活動している。主な著書に「女性の転職・再就職のための資格・ノウハウ教えます」など

加賀耳鼻咽喉科クリニック

医院ホームページ:http://www.kaga.min.gr.jp/

写真左:平成13年5月に新築したクリニックビル
写真中央:清潔で明るい待合室
写真右:1階にある聴力検査室・重心動揺検査
都営新宿線、東京メトロ半蔵門線神保町駅より徒歩1分。東京メトロ東西線・竹橋駅、JR御茶ノ水駅、水道橋駅からも5~10分の徒歩圏内。詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

耳鼻咽喉科

加賀達美(かが・たつみ)院長略歴
1980年 慶應義塾大学経済学部入学
1982年 同中退後、同年東海大学医学部入学
1988年 医師国家試験に合格し、同大学病院耳鼻咽喉科に入局
耳・副鼻腔手術、神経耳科学を専攻
1997年 加賀耳鼻科クリニック開設


■資格・所属学会
日本耳鼻咽喉科学会 認定専門医、日本医師会、東京都医師会、東京都耳鼻咽喉科医会、千代田区耳鼻咽喉科医会、神田医師会、元千代田区耳鼻咽喉科医会代表幹事、神田医師会神保町・錦町地区班長


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