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[クリニックインタビュー] 2011/09/02[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第121回
とよしまクリニック
豊島治院長

外科医としての経験から消化器内科へ転向

 私が医師になった理由は、人の役に立ちたいという気持ちと、父が医師だったということです。小さいころから「将来は医師になる」と思っていて、ほかに「何になりたい」という思いは持ったことはありませんでした。父は外科医だったので、自然と「医者なら外科だろう」という感覚を持っていて、私も最初は外科を専攻しました。
 外科医として、胃がんや大腸がんの治療や手術に携わるなかで、「これらの病気はとにかく早期発見が重要。いかに早期に発見できるかが、その後の治療のカギ」と実感しました。同じころに日本消化器内視鏡学会のセミナーに参加して、内視鏡による検査や手術の技術に感銘を受け、「これからのがんの治療は内視鏡」と肌で感じ、消化器内科に転向。内科の診療を重ねながら、少しでもレベルの高い内視鏡技術を身につけられるよう、勉強してきました。
 大学病院では多くのことを学びましたが、働く環境としては、病院が大きければ大きいほど、しがらみや規制も多く、融通がきかないことを実感するようになったのです。もっと、ひとりひとりの患者さんをていねいに診察したい、フットワーク軽くさまざまなことに挑戦したいという思いがふくらみ、自分の思い描く医療を追求するために開業を決めました。

開業後、患者さんのニーズに応じて方針転換を

 開業にあたっては父が手伝ってくれることになり、両親が住んでいて、自分が育ってきた町、慣れ親しんだ場所に開院しようと決めました。父は開業後、病気をして亡くなったので、一緒に働けたのは1年半ぐらいでしたが、親子でともに診療できたという意味でも、開業してよかったと考えています。
 開業当初は、内科、胃腸科、外科の総合的クリニックとしてスタートし、地域医療に貢献したいという気持ちで内科メインの診療をおこなっていました。ところが、診療していくにつれ、内視鏡の検査や治療を希望される患者さんが増加し、今では内視鏡のほうがメインとなっています。開業してから、社会のニーズや患者さんの傾向に応じて病院の方針が変化してきたといえるでしょう。内視鏡を希望する患者さんが増えるほど、それが「自分たちにしかできないこと」という意識が強まり、自分たちのクリニックの特徴として、現在は「内視鏡に特化したクリニック」という方針で診療にあたっています。
 耳鼻科の先生が耳や鼻の病気を、眼科の先生が目の病気を見つけ、専門的に治療するように、私どもは消化器内科として「胃がんや大腸がんを早期に発見する」ということを目標にやっていこうと考えています。ただ、地域のクリニックとしては、それだけでなく風邪や胃腸炎などの一般的な病気に対応することも必要ではないかと考えているので、内科一般の診療も続けていますが、割合としては内視鏡の患者さんのほうが多いのが現状です。

フットワーク軽く、自分たちにできる医療を

 診療をする上で心がけていることは、患者さんに「不安のない状態で、安心して快適に検査や治療を受けていただきたい」ということ。そのために、クリニックでは「苦しくない内視鏡」をモットーに、スタッフとタッグを組んで、患者さんへの診療にあたっています。患者さんが、「ここにきてよかった」と満足して帰ってくださるときに、いちばんの喜びとやりがいを感じますね。
 また、うちスタッフは心優しいことも誇れるところです。クリニックには毎日たくさんの患者さんがいらっしゃいます。なかには、体が不自由な方や、いろいろな障害をお持ちの方などもいらっしゃいます。そのような患者さんが来院されたとき、スタッフたちはみんな迷うことなくスムーズに診療を受けていただけるように対応してくれます。私が何か言う前に、すでに動いてくれているので、患者さんを思う気持ちが強いというか、人間として、やさしい人が集まってくれているのでしょうね。
 地域の開業医としては、やはり患者さんに安心、満足してもらえる診療、患者さんが求める診療をしていきたいという気持ちがあります。ですから、つねに社会の動向や病気の傾向、患者さんのニーズなどにはアンテナを張り、チェックすることを心がけています。今は内視鏡メインの診療をおこなっていますし、今後10年ぐらいは今の状態でやっていこうと考えていますが、15年後はわからないですね。世の中のニーズが変われば、またクリニックの方針も変えなくてはならないかもしれません。
 あまり「こうでなくちゃ」と決め付けずに、フットワーク軽く、そのときそのときに「今、自分たちがやるべきこと」を探して、一生懸命取り組んでいきたいと考えています。

地域の開業医としても、内視鏡専門医としても

 プライベートでは、昔はサーフィンや山登りに行くなど、アウトドアのレジャーも好きでしたし、趣味もいろいろあったのですが、最近は忙しいこともあってなかなかできません。11歳、9歳、4歳になる3人の男子の父でもあるので、休日はもっぱら子どもたちと遊ぶのが趣味というか、リフレッシュになっていますね。
 健康をキープするためには、運動不足にならないように、体重を増やしすぎないようになど、いろいろ考えてはいるものの、実際にはなかなか運動もできないし、食事面ではなるべく野菜を取るようにしているぐらい。ただ、睡眠だけはしっかり取るようにしています。今、平均睡眠時間は7時間。自分としてはあと少し、8時間取れたら「完璧!」なのですが(笑)、7時間でもなんとか1日がんばり通せています。
 今後の展望として、内視鏡の検査や治療の面では現在の技術レベルをキープしながら、ひとりでも多くの患者さんに「このクリニックに来てよかった」と満足していただけるような医療を提供していきたい。地域の開業医として、この町に住んでいる方々の健康をサポートしながら、内視鏡専門医として、迅速な検査から治療、適切な術後管理まで、ひとりひとりの患者さんを一貫してみられる医師、クリニックでありたいと考えています。

取材・文/出村真理子(Demura Mariko)
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。

とよしまクリニック

医院ホームページ:http://www.ichou.com/

小田急線「成城学園前」駅北口より徒歩3分。待合室の窓から眺める木々に癒される、緑に囲まれたクリニックです。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

内科・胃腸科・外科

豊島治(とよしま・おさむ)院長略歴
1993年 東京大学医学部卒業 同大学附属病院 第一外科、消化器・血管外科
JR東京総合病院 麻酔科
東京大学医学部附属病院 胸部外科
三井記念病院 内科
東京大学医学部附属病院 消化器内科
茅ヶ崎市立病院 消化器内科医長
2002年 とよしまクリニック開院


■資格・所属学会他
日本内科学会認定医、日本外科学会認定外科専門医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本医師会認定産業医、日本人間ドック学会会員、東京都医会員、世田谷区医師会委員、身体障害者福祉法指定医

※記事内で使用している写真は、とよしまクリニック様より提供されたものです。


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