会員限定この記事を読むと10pt 進呈!!

新規会員登録(無料) ログイン

[クリニックインタビュー] 2015/05/22[金]

いいね!つぶやく はてなブックマーク

大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第181回
ひろクリニック
賀来宏維院長

産婦人科医だった父のクリニックを継承

 父は産婦人科の開業医でした。診療所と同じ建物の中に自宅があり、幼いときから仕事をする父の背中を見ていたので、自分も医師になるものだという気持ちでいましたね。ただ、当初は神経内科を専門としていました。この科は神経症候学が土台となっていて、まずは患者さんの話をじっくり聞き、実際に診察しながらどういった病気が隠れているかある程度推測して、その次に確定診断を付けるために様々な検査(CTやMRI、採血、電気生理学的検査等)をやっていきます。最初の診察だけで、ある程度病気がある程度診断できてしまうことがあり、その推理するようなところが奥深くて面白いと思いました。
 その後、父が高齢になったこと、この辺りには産婦人科の病院がなかったことから、誰かが引き継ぐことが必要となりました。そのため東北の大学で産婦人科の医局に入り直し、数年間修行を積んで、私が継ぐことになりました。産婦人科のほか、内科、神経内科、漢方内科を標榜しています。駅前開発に伴い移転しましたが、昔の診療所からそう離れていないので、父の代から来院している方、娘さんなど二世代で来院されている方もいらっしゃいます。

西洋薬と漢方薬を併用した治療を

 患者さんは8割が女性で、10代から90代まで幅広い年齢層の方が来院されます。産婦人科ですが、里帰り出産の方などが多く、30週ぐらいまでの妊婦健診まで行い、その後は他の産院に紹介します。ほかにも産婦人科領域では、月経痛や月経不順、月経前症候群、更年期障害、不妊症なども多く診ています。内科や神経内科の領域では、風邪や生活習慣病、片頭痛からパーキンソン病、アルツハイマー型認知症まで、地域の医療「なんでも屋さん」という感じでやっています。
 一般的な西洋医学による治療のほかに、漢方治療も取り入れています。例えば高血圧の場合は西洋薬と漢方薬を併用することで、西洋薬の投与量を減らせる可能性があります。また、更年期障害でホルモン療法があまり効かない場合に漢方薬をプラスすることで、症状が抑えられ、ホルモン剤の量を減らせるケースもあります。このように、西洋薬と漢方薬のどちらかにこだわることはなく、患者さんごとに使い分けたり、併用したりしています。

患者さんにリラックスしてもらうためのこだわりも

 患者さんと向き合うときに心がけていることは、思いやりと責任を持つということでしょうか。きちんと診断し、治療の方向性を決めて説明する。時には治らない病気と向き合わなければならないこともあります。そんな場合もうやむやにせず、これからの対策をちゃんと決めて話し、患者さんにも納得していただいてその後の方向性を共有しています。
 患者さんは女性が多いということもあり、リラックスして診察を受けていただけるよう、クリニックのあちこちの壁に小さな絵をたくさん飾っています。絵も、絵を入れる額縁も私が選びました。婦人科系の検査や治療に際しては、緊張して臨まれる患者さんも少なくありません。そんな時に絵に気づいて、ちょっとでもホッと心を和ませていただけたらと思っています。また、私自身がクラシック音楽、とくにピアノの演奏を聴くことが好きなこともあり、クリニックの待合室ではショパン、シューマン、モーツアルト、バッハ、ドビュッシーなどのピアノ曲をBGMとして流しています。

少しでも長く続けていくことを目指す

 音楽を聴くことは好きですが、趣味といえばそのぐらいで、休日も学会や研修会に行ったり、診療日にはできない雑務をこなすうちに終わってしまいます。ただ、研修医だった頃は4か月休みがないなんてこともありましたし、産婦人科医として大学病院に勤務していた頃は月に10回ぐらい当直があり、土日も呼び出されたらすぐに行かなければならない状態だったので、当時と比較すると、今は体力的にも時間的にも余裕があるのかな、と思います。
 ただ、勉強できる時間は減りましたね。とくに私の場合は、産婦人科、神経内科、漢方内科と受け持っている分野がいくつもあるので、その分勉強しなければならないことも2~3倍あり、時間が足りないと感じます。なんとか時間を見つけて勉強をしながら、仕事に関しては、良い意味での「現状維持」を目指したいですね。派手な夢はありませんが、とにかく長く継続することが社会へのひとつの貢献になると考えています。地域の女性の方々に安心していただける存在になれるよう、これからもクリニックでの診察を続けていくつもりです。

取材・文/出村真理子(Demura Mariko)
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。

ひろクリニック

医院ホームページ:http://hiroi-c.com/

西武池袋線「ひばりヶ丘」駅より徒歩3分。明るく、木のぬくもりを感じられるクリニックです。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

産婦人科、内科、神経内科、漢方内科

賀来宏維(かく・ひろい)院長略歴
1997年 東京医科大学卒業、同大学内科研修医
1999年 都立荏原病院神経内科勤務医
2000年 西投稿中央総合病院内科勤務医
2001年 東京医科大学第3内科臨床研究医
2006年 岩手医科大学産婦人科助教
2009年 ひばりが丘医院勤務医
2013年 ひろクリニック院長就任


■所属・資格他
日本産婦人科学会専門医、日本神経学会専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医、日本抗加齢学会専門医、日本医師会認定産業医、母体保護法指定医


記事を読んでポイント獲得!

10pt 進呈!!

この記事を読んで
簡単なアンケートに回答すると、
"Amazonギフト券に交換できる"
QLifeポイントを獲得できます!

この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます。
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。