[脊柱側湾症について] 2008/09/11[木]

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目次
(1) 脊柱側湾症とは何か?
(2) 特発性側湾症について
(3) 健康への影響と治療について
≫(4) 装具の効果と手術療法の適応は
(5) より侵襲の少ない手術方法と術後の日常生活について

装具の効果について

装具の効果として期待することは、側湾の矯正とともに進行を遅らせることです。装具治療で矯正ができない場合でも医師はなるべく進行を遅らせて、ある程度成長したところで手術をしたいと考えています。ただし、装具療法の効果には個人差があります。
誰でも手術はしたくないものです。ですので「装具で治るのですか?」とよく聞かれます。医学会でも議論されているのですが、発症の時期やカーブの状態で、ある程度予測はつきますが、進行するか進行しないかの指針はまだ明らかになっていません。
整体やカイロプラクティックを訪れる人も多いですが、残念ながら、側湾症に関してそれらの治療は効果がありません。親御さんの心情としては理解できますので、あえてそれをするなとは言いません。しかし、効果のない治療を何年も続けた結果、側湾が進行してしまい、その後数回の手術治療を必要としたケースもあります。ですから、定期的に整形外科の専門医を受診することを強くおすすめします。

整形外科の受診は、装具を着け始めた頃は3ヶ月に1回、安定してくれば4ヶ月に1回の診察で進行を診ます。未成熟の身体へのエックス線の影響を考えて、撮影枚数を最小限にとどめています。また、最近では、人体への影響がより少なくすむエックス線撮影装置を設置している施設もあります。

手術療法の適応は?

側湾症の手術療法として、矯正術《きょうせいじゅつ》が行われています。矯正術は、術前と術後の角度の割合(矯正率)で評価します。通常でも矯正率は70%を超え、安定した成績を得られる手術といえます。さらに矯正率が80%超えると、見た目で殆ど正常とわからなくなります。

一般的には、胸椎では50-55度を超えたら手術を考えます。胸椎で40度以下であれば、特殊なタイプ(肋骨の隆起が目立つもの)を除いては、ほとんど手術は行いません。 なぜ手術が必要かというと、50度超えると、成長が止まった後も、体の重さで椎体や椎間板がくさび状に変形するなどして、年に1度、2度と進行していくからです。つまり、胸椎の場合、50-55度以上では成長が終了した後も進行するリスクが高いので手術の適応なるわけです。
ちなみに胸椎の上部は、手術の適応となることは多くありません。進行することが少なく、多少曲がっていてもあまり目立たないからです。
胸椎から腰椎の移行部では40度を超えたら手術を考えます。胸椎から腰椎の移行部、腰椎では、腰痛などの自覚症状を取り除くことと、のちのちの椎間板の変性を考えて、手術が適応となります。

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