監修:日本医科大学武蔵小杉病院 リウマチ・膠原病内科 部長 病院教授
厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)ベーチェット病に関する調査研究 研究代表者
岳野 光洋 先生

繰り返す口内炎、悩んでいませんか? その原因、病気かも・・・

その症状、病気が原因かも・・・

「口内炎が治ったと思ったのに、またできた」というように、“繰り返す口内炎”にお悩みではありませんか。
“繰り返す口内炎”は、ベーチェット病などの病気が原因で起こることもあります。
ここでは、口内炎が繰り返しできるベーチェット病について専門医に解説いただいています。症状チェックリストも公開していますので、口内炎でお悩みの方は、ぜひご覧になってみてください。

「口内炎が治ったと思ったのに、またできた」というように、
“繰り返す口内炎”にお悩みではありませんか。

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“口内炎”が繰り返しできる。なかなか治らない。
その症状は、ベーチェット病が原因かもしれません。

口内炎が繰り返しできたり、なかなか治らなかったりすることはありませんか?口内炎自体はありふれた症状ですが、もしかしたらベーチェット病が原因かもしれません。
ベーチェット病は、免疫バランスの異常によって起こる全身性の炎症性疾患です。ベーチェット病では、口腔内、眼、皮膚、外陰部、腸管、神経、血管など、さまざまな臓器に症状が現れ、患者さんの生活の質が損なわれます。ベーチェット病の研究・診療に携わっている横浜市立大学の桐野洋平先生に、この病気について教えていただきました。

原因は不明。免疫のバランスに異常が起こることが関係か。

ベーチェット病は患者数が少ない疾患とされています。どのくらいの数の患者さんがいるのでしょうか。

平成26年の統計では、約20,035人の患者さんがいることがわかっています1)。ただし、軽症の患者さんや、ベーチェット病であることに気がついていない患者さんを含めたら、その数はもっと多くなると推測されます。

なぜ、この病気が起こるのでしょうか。

はっきりとした原因はわかっていませんが、環境要因(細菌やウイルスの感染、衛生状態、食生活、喫煙など)と遺伝素因(病気になりやすい遺伝子があるかどうか)の両方が重なり合うことにより、免疫のバランスに異常が起こると考えられています。

ベーチェット病に気付くきっかけとなる口内炎。加えて、さまざまな症状が重なり合って現れる。

ベーチェット病ではどのような症状が現れるのでしょうか。

日本の診断基準では、「主症状」は口内炎(口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍)、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍の4つ、「副症状」は関節炎、血管病変、精巣上体炎(副睾丸炎)、消化器病変、中枢神経病変の5つと定めています2)。なかでも口内炎は初期症状として最も頻度が高く、ベーチェット病に気づくきっかけとなる症状と言えます。ベーチェット病による口内炎には、一度に複数の口内炎ができる、口内炎が深い、なかなか治らない(2週間程度続く)、などの特徴があります。
これらの症状がくり返し起こっているか、重なり合って起こっているか、などを注意深く観察しながら診断していきます(図1)。

症状の診察以外にはどのような検査が行われるのでしょうか。

もちろん血液検査も行いますが、炎症反応が検査結果に表れないことが多いので、あくまで診断の際の参考という位置づけです。また、針反応(注射針を皮膚に軽く刺して、腫れたり膿が溜まったりするかどうかを確認する検査)や画像検査(MRIなど)、白血球型の検査を行うこともあります。

炎症を抑える治療により、生活の質の低下と臓器障害を防ぐ

どのような治療が行われるのでしょうか。

ベーチェット病の治療は、炎症を抑えることを目的として、主に薬による治療が行われます。最近は治療薬の種類も増え、症状にあった治療が選べるようになってきました。炎症が治まることで、日常生活に支障をきたす痛みなどの症状が軽減します。
ベーチェット病を放置すると、臓器障害が進行するリスクがあります。例えば、眼症状を放置すると失明につながる恐れもあるので、治療は早期に開始することが大切です。

口内炎が心配な方は医療機関の受診を

医療機関を受診する際の注意点はありますか。

口内炎などのベーチェット病の症状は現れたり治まったりすることを繰り返すので、受診したときには症状が消えていることも少なくありません。ですので、症状が現れたときに写真を撮っておくことをおすすめします。また、いつ症状が現れたか、何回現れたか、などをメモしておいていただけると診断の参考になります。
ご家族のサポートも大切です。日常生活でのちょっとした変化にご家族が気づいてあげることが、病気の診断や、病状を悪化させないことにつながると思います。

最後に、ベーチェットが疑われる方へのメッセージをお願いします。

口内炎に慣れてしまっていたり、「口内炎ができやすい体質かも」と思いこんでいたりして、自分がベーチェット病であることに気付いていない方もいるかもしれません。心当たりがある方は、一度医療機関で相談してみてはいかがでしょうか。
ベーチェット病は難病に指定されている病気なので、診断されてショックを受ける方もいらっしゃいます。しかし治療法は進歩しているので、落ち込む必要はありません。基本的には普段通りの生活をしつつ、主治医の先生と相談しながら、病状にあった治療を続けていってほしいと思います。

桐野 洋平 (きりの ようへい) 先生

横浜市立大学大学院 医学研究科 幹細胞免疫制御内科学
横浜市立大学附属病院 ベーチェット病診療研究センター レジストリ解析室 室長

【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本ベーチェット病学会 評議員
International Society for Behcet's disease council member

  • 難病情報センター. 特定疾患医療受給者証所持者数 平成24年度~平成26年度までの推移. https://www.nanbyou.or.jp/entry/1356 (2022年6月21日閲覧)

  • 水木信久ほか. 厚生労働科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究 平成26-28年総括・分担研究報告書, 2017.

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繰り返す口内炎が気になる方へ 症状チェックリスト

※1:口腔内のアフタ性潰瘍

1年間のうちで、口内炎が何個も繰り返しできた
のどに痛みがある
食事の際に痛みがある

皮膚

ぶつけていないのに、脚のすねや腕にピンク色や赤色のしこりができた
足の血管に沿って、痛みがでたり腫れることがあった
吹き出物やニキビのような湿疹ができた

数日~2週間程度で治まる眼の炎症(充血、痛み、かゆみ、視力低下のいずれか)が、繰り返し起こった

外陰部

性器の周辺に、痛みのある潰瘍(皮膚がただれている状態)ができた

その他の症状

関節が痛んだ
関節が腫れた
片方(または両方)の足全体やふくらはぎが赤黒くはれ上がり、痛みがでた
高熱や頭痛、めまい、麻痺がおきたり、言葉が出てこなかったり物忘れすることがあった
慢性的な腹痛や下痢、下血などを経験した
吐き気、嘔吐、腹痛を経験した
(男性の方)睾丸が痛み、腫れたが数日でおさまった

チェックいただいた症状について考えたとき、
今のあなたの気持ちを表しているのは、次の顔のうちどれですか?

【監修】

桐野洋平 先生
横浜市立大学大学院 医学研究科 幹細胞免疫制御内科学
横浜市立大学附属病院 ベーチェット病診療研究センター レジストリ解析室 室長

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ベーチェット病の症状はさまざまなため、専門医に全ての症状を総体的に診てもらうことをおすすめします。
口内炎が何個も繰り返しできている場合や、複数のがついた場合には、ベーチェット病ではないか医療機関に相談してみることをおすすめします。
受診の際には、このチェックリストのスクリーンショットと症状があるときの写真などをご持参いただくと、診察がしやすくなります※2

※2:症状は出たり消えたりすることを繰り返すため、写真などで記録を残しておくことをおすすめします。

提供:アムジェン株式会社

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OTZ224070QL2 2024年1月作成