出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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鼻、のどに起こる異常から考えられる主な病気

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鼻に起こる異常から考えられる主な病気

◆ 鼻づまり

症状 疑われる病気
いびき、睡眠障害 睡眠時無呼吸症候群
鼻中隔弯曲症
難聴 アデノイド増殖症
鼻みず 慢性鼻炎
くしゃみ 眼のかゆみ アレルギー性鼻炎
咽頭痛などかぜ様症状 急性鼻炎
嗅覚障害、頭痛 慢性副鼻腔炎
鼻茸

◆ 悪臭のある鼻みず

症状 疑われる病気
鼻・頬・眼の内側・おでこ・頭の痛み 急性副鼻腔炎
歯・頬の痛み 歯性上顎洞炎
乾酪性上顎洞炎

◆ 鼻出血

症状 疑われる病気
頬部のはれ、鼻みず・鼻汁、歯痛、開口障害 上顎洞がん
鼻づまり、少量から次第に多量の鼻出血 鼻咽腔血管線維腫
出血傾向 急性白血病
小児急性白血病
慢性骨髄性白血病
骨髄線維症
骨髄異形成症候群
血友病
特発性血小板減少性紫斑病
播種性血管内凝固症候群
その他 高血圧
アスピリンなど薬剤の服用

◆ 鼻の入口付近のはれ、痛み、発赤、うみの排出

疑われる病気
鼻癤

のどに起こる異常から考えられる主な病気

◆ のどの痛み、嚥下痛

症状 疑われる病気
発熱 急性咽頭炎
咽後膿瘍
急性扁桃炎
習慣性扁桃炎
扁桃周囲膿瘍
呼吸困難、喘鳴、窒息 急性喉頭蓋炎
頸部リンパ節のはれ 難聴 扁桃悪性リンパ腫
声がれ 中・下咽頭がん

◆ 嚥下障害

症状 疑われる病気
胸焼け、のどの違和感、胸痛、吐き気 逆流性食道炎
食道裂孔ヘルニア
胸骨部の痛み、嘔吐 食道モリニア症
体重減少、胸痛・背部痛、声がれ 食道がん
いびき 扁桃肥大
意識障害、片麻痺、感覚・言語障害、複視 脳梗塞
四肢の筋力低下、複視、不整脈 ギラン・バレー症候群
視力低下、しびれ感、感覚低下、手足の脱力 多発性硬化症

◆ 声がれ

症状 疑われる病気
咳、のどの異物感 急性喉頭炎
慢性喉頭炎
嚥下困難、血痰 喉頭がん
喘鳴 声が出なくなる、呼吸困難 喉頭乳頭腫
発熱、犬の吠え声のような咳 急性声門下喉頭炎
のどの違和感、発声時の違和感 声帯ポリープ
声帯結節
声が鼻にもれる、肩が痛い、嚥下困難 反回神経麻痺

鼻、のどに起こる異常とは?

鼻に起こる症状には、鼻みず、鼻づまり、鼻血、鼻の痛み、嗅覚異常などがあります。これらのなかで、とくに注意したいのは鼻血です。鼻以外の血液や循環器系などの病気でも出現することがあるからです。
一方、のどに起こる症状は、痛み、嚥下障害(食べ物がのみ込みにくい)、声がかれるなどです。嚥下障害は、脳血管や神経、筋肉、食道などの病気の重要なサインでもあります。

鼻に起こる異常

鼻の病気の症状といえば、まず鼻みず(鼻汁)、鼻づまりがあげられます。専門的には、鼻みず(鼻汁)のことを「鼻漏」、鼻づまりのことを「鼻閉」といいます。
鼻みず、鼻づまりがある時、鼻を強くかまないようにしましょう。強くかむと圧力の逃げ場がなくなり、細菌などを鼻とつながっている中耳や副鼻腔に押し込んで炎症を起こしてしまうので注意しましょう。

鼻出血(鼻血)に注意

鼻の粘膜には毛細血管が密集しているため出血しやすく、のぼせたり、鼻を強くかんだり、もちろん鼻の病気でも起こりますが、気をつけたいのは鼻以外の病気で起こる場合です。
まず白血病や紫斑病など血液の病気。なぜ鼻出血があるかといえば、これらの病気の主要な症状に出血傾向があるためです。出血傾向とは血液成分の異常により出血し、簡単にはとまらない状態のことで、紫斑(皮膚や粘膜にできる出血斑)や鼻・歯肉・関節内・筋肉内の出血、血尿、月経過多などの形で現れます。
成人の鼻血で最も多い原因は高血圧です。高血圧は、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気の大きな危険因子ですので、血圧のコントロールが大切です。

のどに起こる異常

のどに感じる痛みの多くは、咽頭や扁桃に細菌やウイルスが感染して炎症を起こしている時現れます。急性咽頭炎や急性扁桃炎などの主要な症状のひとつで、かぜの場合ものどに炎症を起こしやすく、時に痛みを感じることがあります。

嚥下障害に注意

嚥下とは、食べ物をのみ込むこと。この嚥下に障害があると、食べ物がのみ込みにくくなる(嚥下困難)、のみ込む時にむせる(誤嚥)などの症状が出ます。
嚥下障害を起こす病気はいろいろありますが、なかでも脳梗塞などの脳血管障害、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症などの神経・筋肉の病気、食道がんなどの食道の病気でよく現れます。

声がれに注意

声がそれまでと違って、かれたり、しゃがれたりすることを嗄声といいます。生まれつきかれている人はまずいないので、嗄声になってきたら何らかの病気が疑われます。多くはのど(声帯)の病気で起こり、喉頭がんでは嗄声が早期発見の重要な手がかりです。嗄声に気づいたら、まず耳鼻咽喉科を訪れてください。