心臓超音波検査執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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心臓疾患が疑われるときに行う検査です。超音波を通しやすくするゼリーが、ヒヤッとしますが、痛みはないので安心してください。

医師が使う呼び方:「しんぞうちょうおんぱ」「しんエコー」=「エコー」は「反射波」のこと

先天性心疾患、心臓弁膜症、急性心筋梗塞などの診断に有用

 動悸や息切れ、チアノーゼ(唇や爪、指先などが紫色になること)、胸痛などの症状があるとき、心臓の病気を疑って行う検査です。

 人の耳には聞こえない周波数の高い音を、体表から心臓に向かって発信し、はね返ってくる反射波(エコー)を画像化して、心臓の形や動きを観察します。

 心臓の形からは、先天性の心疾患(心室中隔欠損症など)や心臓弁膜症、肥大型心筋症などが、心臓の動きからは、急性心筋梗塞(こうそく)や心筋症などを診断することが可能です。

僧帽弁狭窄症では収縮・拡張時の波が台形に

 心臓超音波の画像には、BモードとMモードがあります。写真の①-1と②-1がBモードで、ある瞬間の心臓の形を示しています。右側の①-2と②-2がMモードで、心臓の収縮・拡張時の経時的な位置の動きを示しています。

 写真は、正常例と、心臓弁膜症のひとつ僧帽弁狭窄(きょうさく)症の例です。

 ②-1の写真からは、僧帽弁前尖(ぜんせん)のエコー増強、僧帽弁後退速度の減少、拡張期後尖(こうせん)の異常前方運動、左室後壁の運動低下などが認められます。

 ①-2と②-2のMモードをみると、正常では心室の拡張と心房の収縮による波がMに似た型を示すのですが、僧帽弁狭窄症では台形の波形になり、これは弁の肥厚、硬化による多重エコーを示しています。

検査時間は約30分

 検査台に、胸部の衣服を開くか、あるいは上半身裸になってあお向けに寝ます。心電図も同時にとるために電極をつけます。

 そして、プローブと呼ばれる超音波発信器に、超音波を通しやすくするためのゼリーを塗って胸部にあて(ちょっと冷やっとするが、苦痛はない)、超音波を心臓に向かって発信させ、モニターテレビで画像を観察します。全行程で30分程度です。

だれでも安心して受けられる

 検査当日の飲食は、普通にとってかまいません。胸部を出せるように、前が開けられる服装で受けてください。まったく安全で苦痛のない検査ですので、妊婦や乳幼児でも安心して受けることができます。

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疑われるおもな病気の追加検査は

  • 心臓弁膜症

    心音図、心臓カテーテルなど
  • 心筋症

    心臓カテーテル、心筋生検など
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版