眼圧・眼底検査執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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眼内液の圧力を調べるのが眼圧検査、眼の奥の網膜、血管などの異常を調べるのが眼底検査です。瞳孔を開いて検査するので、検査後の歩行に注意します。

医師が使う呼び方:「がんあつそくてい」「がんてい」

〈眼圧検査〉

緑内障の診断に重要

 眼圧検査とは、眼内液(房水)の圧力を測定する検査で、おもに緑内障(りょくないしょう)を調べる目的で行います。 緑内障とは、何らかの原因で眼圧が上昇して、視神経が圧迫・障害され、視力の低下や視野狭窄(きょうさく)が出現する病気で、眼の痛みやかすみ、充血、頭痛、吐き気などの症状が現れることもあります。

 正常の圧は、10~20mmHg。21mmHg以上のときは緑内障を疑って、さらにくわしい検査をします。

検査時間は1~2分

 いくつか方法がありますが、一般的には細隙灯(さいげきとう)顕微鏡を取りつけたゴードマン眼圧計で測定します。

 暗室の検査台の前に座り、顎(あご)台に顎をのせ麻酔薬を点眼し、プリズム圧平面を角膜中央に接着させて眼圧を測ります。痛みはありませんが、点眼薬が少ししみます。検査は1~2分で終了。検査後の安静もいりません。

 現在は、直接眼球に接触することはなく、麻酔も必要でなく、圧搾空気を吹きつけて、角膜のへこみ具合によって眼圧を測定する方法が広く用いられています。

〈眼底検査〉

動脈硬化など全身状態の指標

 眼底検査とは、眼の奥のほう、網膜とその血管、脈絡膜、視神経乳頭などのある部分の異常を調べる検査で、網膜剥離(はくり)や眼底出血、緑内障などの眼の病気を調べるとき行います。

 また、網膜は人の体の中で唯一直接に血管を観察できる部位のため、そこを観察すると動脈硬化、脳腫瘍、高血圧、糖尿病など全身の病気が推察でき、生活習慣病の検査としても重要です。

 例えば、網膜剥離がおこると青白く混濁して見え、さらに進行すると盛り上がり、しわ状に見えます。糖尿病網膜症では、眼底の毛細血管瘤(りゅう)や血管新生、出血斑を認めます。

検査時間は延べ30数分

 まず散瞳(さんどう)(瞳孔を開くこと)をしないで、眼に近づいて観察(直像鏡検査)し、次いで眼から少し離れて観察(倒像鏡検査)し、その後、散瞳薬を点眼し、30分後に細隙灯顕微鏡にレンズをつけた眼底カメラで検査します。

 検査台の前に座って、顎受けに顎をのせ、額当てにしっかり額を当て、両眼を開いて一定の所(固定灯)を見、瞳孔に光を当てて両眼それぞれ1枚ずつの写真を撮ります。

 散瞳したあと5~6時間はまぶしいので、検査後の歩行に注意します。また、車の運転も禁止です。

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疑われるおもな病気の追加検査は

  • 緑内障

    視野検査、隅角鏡検査、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査、超音波など
  • 網膜剥離

    視野検査、視力検査、細隙灯顕微鏡検査、超音波、網膜電位図など
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版