皮内アレルギーテスト執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進
さまざまな物質による過敏症(アレルギー)の有無を調べる検査です。皮内テスト、スクラッチテスト、パッチテストなどがあります。
吸入アレルゲン | ハウスダスト(室内塵)、ダニ、花粉(イネ科植物、雑草、樹木など)、かび類、動物の表皮(ネコ、イヌ、インコなど)、そばがらなど |
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食物アレルゲン | 牛乳、卵白、そば、小麦、魚、肉、かに、えび、かき、ナッツなど |
薬剤アレルゲン | ペニシリンなど |
昆虫アレルゲン | 蚊、蜂など |
接触アレルゲン | 色素など |
アレルギーがあるか否かを調べる検査
私たちの体は、体の外から侵入してくる外敵(抗原、アレルゲン)に対して、それに抵抗する物質(抗体)をつくって自らを防御し、病気を未然に防ぐシステムを備えています。これを免疫機構といいます。しかし、免疫機構は正常に働いているものの、ある特定のアレルゲンに対してのみ過剰に防御反応を示して、体に害を及ぼすことがあり、この現象をアレルギー(反応)といいます。
皮内アレルギーテストは、どのようなアレルゲンによってアレルギーがおこっているかを調べる検査で、アレルゲンを特定あるいは検出します。おもなアレルゲンを表に示しました。これらによっておこる病気をアレルギー疾患といい、花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息(ぜんそく)などをはじめ、たくさんの種類があります。
皮内テスト、スクラッチテスト、パッチテストなどで検査
皮内テスト
皮膚に皮内テスト用アレルゲンを注射して、一定時間内にその部位におこる皮膚反応(赤くなったり、はれたり、硬くなったりする)を調べます。
目的は、①薬剤過敏症の有無、②感染症の診断、③アレルゲンの検出です。
ペニシリンなどの抗生物質、ピリン系解熱剤などの使用前に、これらの物質による過敏症があるかないかの検査として必ず行われます。また、ツベルクリン反応も皮内テストのひとつで結核診断のために、さらにジフテリアや猩紅(しょうこう)熱、サルコイドーシスなどの診断にも広く用いられています。
スクラッチテスト(掻爬(そうは)試験)
注射針で皮膚に線状の傷をつけ、各種のアレルゲンを滴下して、この部位が赤くはれ上がるか否かを観察します。
パッチテスト
アレルゲンと疑われる薬剤や物質を、パッチテスト用絆創膏(ばんそうこう)の小片に染み込ませ、これを上腕や背中の皮膚に張りつけ、一定時間後にはがして皮膚の状態を観察します。
以上のテストで皮膚反応を観察して、赤くなったり、はれたり、小水疱ができた場合には陽性と判断し、適切な処置・治療を行います。
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アトピーとは
アレルゲンに接触すると、ただちに症状が現れる一群の病気がある。これらには遺伝性があり、このような即時性のアレルギー反応をおこしやすい体質をアトピーという。花粉症、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などがアトピー性疾患。
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版