LDLコレステロール執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進
血液中の脂肪の量を調べる検査です。LDLコレステロールは動脈硬化の最大の危険因子です。検査前12時間以上は絶食、禁酒・禁煙の必要があります。
コレステロールやトリグリセリドなどの脂質は血液には溶けない。このため、アポ蛋白という蛋白と結合し、血液に溶ける形になって全身に流れていく。これをリポ蛋白と呼び、比重の違いからカイロミクロン、VLDL、LDL(低比重リポ蛋白)、HDL(高比重リポ蛋白)の4つに大別できる。このうちのLDLに含まれるコレステロールをLDLコレステロール(LDL-C)という。
LDLコレステロールの基準値
(上表参照)
高値が続くと動脈硬化に
コレステロールはリポ蛋白の中で、HDLとLDLに多く存在します。LDLは末梢組織にコレステロールを運搬する役割を、HDLは末梢組織の余ったコレステロールを肝臓に運搬する役割をもっています。このため、HDL中のコレステロールは「善玉」コレステロール、LDL中のコレステロールは「悪玉」コレステロールとも呼ばれています。
このLDLコレステロールは動脈硬化の重要な危険因子で、高値が続くと冠動脈疾患(狭心症、急性心筋梗塞(こうそく))や脳梗塞などの動脈硬化性の病気の原因になります。
厚生労働省により平成20年から導入された「特定健診・特定保健指導」でも、LDLコレステロールは総コレステロールにかわって、測定項目の1つとなっています。これは日本動脈硬化学会が、総コレステロールではなくLDLコレステロールこそが動脈硬化の危険因子であることを確認した結果です。
検査前12時間以上は絶食
LDLコレステロールは食事や飲酒の影響を受けるため、検査前12時間以上は絶食、禁酒・禁煙します。また、検査前日の夕食は、高脂肪食や高カロリー食を控えめにしてください。
脂質管理目標値
LDLコレステロール値が140mg/dl以上を高LDLコレステロール血症、120~139mg/dlを境界域LDLコレステロール血症といいます。
LDLコレステロールの値は、トリグリセリド(中性脂肪;TG)が400mg/dl未満の場合は、「LDL-C=TC-HDL-C-TG/5」というFriedewaldの式で計算します。TGが400mg/dl以上の場合は「上記で求めた値+30mg/dl」とします。LDL-Cを直接測定する方法もありますが、現在のところ信頼性が確立されていないため、上記の式で求めることになっています。
LDL-Cの管理目標値は、表に示したように一次予防としてのカテゴリーI~IIIと二次予防に分けられ、生活習慣の改善と、場合によっては薬物療法も加えて目標値を目指します。
ちなみに、表中にあるnon HDL-Cとは、すべての動脈硬化惹起性リポ蛋白中のコレステロールのことで、LDL-Cの管理目標値に30mg/dlを加えたものです。TGが400mg/dl以上や食後採血の場合の指標として使われます。
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疑われるおもな病気などは
高値
家族性高コレステロール血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群など
低値
肝硬変、甲状腺機能亢進症、無(低)βリポ蛋白血症、低栄養など
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版