尿酸執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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おもに痛風を調べる検査です。痛風の人の99%は高尿酸血症で、肥満やプリン体のとりすぎ、過度の飲酒などによっておこります。

尿酸とは

 細胞の核に含まれる核酸の成分のひとつであるプリン体という物質が、体内で分解してできる最終産物。

医師が使う呼び方:「にょうさん」

尿酸の基準値

男性:3.5~7.0mg/dl

女性:2.5~6.0mg/dl

(酵素法)

■表1 食品とプリン体
プリン体の多い食品えび、するめ、あじの干物、いわし、かつお、大豆、あんこうのきも、しらこ、ビールなど
プリン体の少ない食品穀類、パン、いも類、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、野菜類、海苔、茶など

痛風で高値に

 この検査は、痛風の疑いがあるとき行います。

 尿酸値が10mg/dlを超えると痛風になりやすくなり、痛風の人100人のうち99人は尿酸値が10mg/dl以上です。ただし、痛風発作時には、尿酸が痛風結節で結晶化するため、尿酸値は低くなります。

 そのため、発作時に尿酸値が低いからといって、その発作が痛風によるものではないとはいいきれず、さらにくわしく検査する必要があります。

高値は急性心筋梗塞、脳血管障害、腎機能低下の原因に

 血液中の尿酸は血管を障害しやすく、血管が多く存在している心臓や脳、腎(じん)臓に沈着し、組織を破壊したり、結石をつくったりします。痛風の発作はとても痛くつらいものですが、痛風自体が命にかかわることはありません。

 本当に怖いのは、高尿酸血症(後述)の状態が続くと、急性心筋梗塞(こうそく)、脳出血や脳硬塞などの脳血管障害、腎機能障害などが発生しやすくなることです。

男性は女性より高値、また加齢により高値に

 尿酸は、血清を用いて酵素が入った試薬と比色計で測定されます。

 血液中に溶ける尿酸の量は6.5~7.0mg/dlですから、これ以下の濃度であることが望まれます。男性の上限値の7.0mg/dlは高尿酸血症の定義値で、7.0mg/dl以上の場合を高尿酸血症と呼びます。男性のほうが女性より高く、また年齢が増すに従って高値になっていきます。

 検査当日の飲食は普通にとってかまいません。

高値の場合は再検査

 高値の場合は再検査しますが、尿酸値に影響を与える薬剤や食生活の影響を考え、1~2週間後の再検査が望まれます。

 高尿酸血症になる原因は、肥満、プリン体(表1)のとり過ぎ、多量の飲酒、激しい運動などです。したがって高尿酸血症の場合は、食事は極端にプリン体の多い食品は禁止し、脂肪、アルコールの過剰摂取は避けます。糖質、蛋白質は体重を増加させない範囲なら制限しません。

 なお、痛風の症状がない場合でも尿酸値が8.0mg/dl、尿中排泄量が1日800mg以上の場合は、薬剤による治療が必要です。

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痛風とは

 血液中の尿酸の濃度が高くなり過ぎて結晶化し、足の親指のつけ根や手指の関節などに沈着して痛風結節と呼ばれる赤い盛り上がりができ、突然激しい痛みの発作がおこる病気。

疑われるおもな病気などは

  • 高値

    痛風、レッシュ・ナイハン症候群、腎機能障害、薬剤性(利尿剤、降圧利尿剤など)、過激な運動、アルコール摂取など
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版