CRP執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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急性炎症や組織破壊の活動性・重症度、治療の予後判定の指標などとして行われる検査です。症状や病勢にあわせ、繰り返し検査を行います。

CRPとは

 細菌感染症などで炎症所見と同時に出現する急性相反応物質のひとつであり、組織の変性や破壊でも出現し、これらが治癒すると血中から消失する。

医師が使う呼び方:「シーアールピー」=C-reactive protein(C-反応性蛋白)の略CRPから

CRPの基準値

定性法:陰性(-)

定量法:0.3mg/dl以下

炎症や組織の破壊がおこると陽性、高値に

 肺炎を引きおこす病原体はたくさんいますが、そのうちのひとつに肺炎球菌(ストレプトコッカスニューモニエ)という菌がいます。この菌によって肺炎がおこると、この菌と反応するCRPが血液中に出現するため、最初のうちCRPは肺炎に特異的な蛋白と考えられていました。

 しかし次第に、肺炎以外の炎症や組織の破壊でも、血液中に増加することがわかってきました。しかも、炎症や破壊が大きいほど高値になり、炎症や破壊がおさまるとすぐに減少するため、現在ではCRPは、急性炎症や組織破壊の活動性や重症度、あるいは治療の予後判定の指標として用いられています。

狭心症と急性心筋梗塞を鑑別するための指標

 狭心症と急性心筋梗塞(こうそく)は、胸痛をおこす代表的な病気ですが、狭心症は冠動脈の機能的攣縮(れんしゅく)(収縮)であるため、心臓の筋肉(心筋)の破壊(壊死)はありません(厳密にはごくわずかは存在します)。一方、急性心筋梗塞では冠動脈が閉塞するため、心筋は壊死します。このため、狭心症ではCRPは陰性ですが、急性心筋梗塞では陽性・高値になります。

 最近、クラミジアなどによる慢性炎症が急性心筋梗塞の原因となることがわかり、このような場合にはごく低濃度のCRPの上昇が認められます。

検査は定性法、定量法で調べる

 CRPは、抗体を用いた免疫学的手法によって測定します。自動機器を用いる場合と、用手法による場合があります。

 検査方法には、定性法と定量法があります。定性法は陰性(-)、陽性(+)で判定します。一方、定量法の基準値は、0.3mg/dl以下になります。

 検査当日の飲食は普通にとってかまいません。

症状・病勢にあわせて繰り返し検査

 炎症疾患の回復期や、潜在的な細菌感染症が疑われる病態では、症状・病勢にあわせて、繰り返し検査します。

 また、かぜなどでも上昇することがあるので、この場合はかぜの症状が落ち着いた時期に検査し、潜在的な炎症や疾患の有無の判定に利用します。

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疑われるおもな病気などは

  • 陽性・高値

    膠原(こうげん)病:リウマチ熱、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど
  • 感染症:細菌感染症、ウイルス感染症

  • その他:悪性腫瘍(とくに広汎な転移または壊死)、急性心筋梗塞、肺梗塞、大きな外傷、熱傷

出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版