ASO執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進
溶連菌に感染しているか否かを調べる検査です。ASOは健康な人でも変動があるため、明らかな陽性以外は再度測定を行います。
溶血性連鎖球菌によってつくられるβ(ベータ)溶血毒素(ストレプトリジンO(オー)=SLO)に対する抗体のこと。
ASOの基準値
250単位以下
扁桃炎のときに高値に
扁桃(へんとう)が赤くはれ、発熱と喉(のど)の痛みや白苔(はくたい)を認める扁桃炎は、細菌が感染して発症しますが、その原因菌のひとつに溶血性連鎖球菌(溶連菌)があります。
この菌は、感染すると毒素をつくり、生体は、この毒素に対して抗体(ASO)をつくり、抗原であるこの菌を排除しようとします。したがって、この抗体を測り、陽性になれば溶連菌に感染した変化であることが判定できるわけです。
急性糸球体腎炎でも高値に
溶連菌はまた、急性糸球体腎炎をおこします。扁桃炎をおこしたとき、数日高熱が続き、その後、腰痛、血尿が現れると、急性糸球体腎炎の合併が疑われます。急性糸球体腎炎の合併では血圧が上昇し、尿検査では尿蛋白が陽性、尿沈渣(ちんさ)で赤血球陽性になり、血液検査では尿素窒素やクレアチニンが上昇します。急性糸球体腎炎は、早期の入院加療が必要になります。
なお、急性糸球体腎炎は溶連菌が直接、糸球体を障害するのではなく、ASOと菌体成分が結合した複合体が糸球体を障害します。
その他、溶連菌は、関節炎や心臓弁膜症を合併するリウマチ熱の原因にもなります。
明らかな陽性以外は再測定
血清を用いて測定します。ASOは健康な人でも変動があり、明らかな陽性の場合以外は2週間以上の間隔で再測定し、2段階以上の変動があれば陽性と判断します。
溶連菌の中には、ストレプトリジンO(オー)以外の毒素をつくる菌もいて、この場合は溶連菌に感染していてもASOは陰性になるため、ほかの測定法(抗ストレプトキナーゼ、ASK)を行い、溶連菌感染の有無を調べます。
陽性で症状を伴えば、くわしく検査
溶連菌に感染しても、ASOは2週間は陰性で、2週間後から上昇し始めて短期(4~6週)で高値になり、その後、次第に低下していきます。抗菌薬治療で、抗体価の上昇は抑えられます。
症状がなく、ASOが陽性の場合は以前に溶連菌に感染したことを示します。症状(発熱や関節痛、動悸、血尿など)を伴う場合は、血液や尿などの検査を行い、溶連菌感染の部位、合併を明らかにします。
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疑われるおもな病気などは
高値
扁桃炎、リウマチ熱、急性糸球体腎炎、猩紅熱(しょうこうねつ)、血管性紫斑病など
低値
免疫不全症候群
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版