クラミジア抗原・抗体執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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医師が使う呼び方:「クラミジア」

クラミジア抗原・抗体の基準値

陰性(-)

性感染症の最大の原因

 クラミジア(クラミジア・トラコマティス)はヒトや動物の細胞に寄生することで増殖する微生物で、この微生物に感染しているか否かを調べる検査が、クラミジア抗原・抗体検査です。クラミジアは、ほとんど性行為によって感染し、性器クラミジア感染症は最も罹患(りかん)率の高い性感染症(STD)です。

 女性の場合はまず、子宮の入口部分の頸(けい)管に感染して子宮頸管炎がおこり、放置しておくと感染が子宮の内部へと進み、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎などを、さらに上腹部にまで及ぶと肝臓と他の臓器が癒着(ゆちゃく)する肝周囲症がおこってくるようになります。男性の場合は、まず尿道に感染して尿道炎がおこり、感染が進むと前立腺炎や精巣上体炎などがおこってきます。

 また、クラミジアは口や肛門からも感染し、咽頭炎や直腸炎などを発症することがあります。

治療はパートナーと同時に

 クラミジア感染の診断は、抗原検査と抗体検査により行われます。抗原検査には免疫学的方法、遺伝子診断法があり、後者のほうが感度、特異度が優れた検査です。抗体検査は感染の間接的な証明しかできませんが、女性の子宮頸管炎、骨盤腹膜炎などや男性の前立腺炎や精巣上体炎では有用性が知られています。

 近年、性器クラミジア感染症がとくに若い女性に急増しています。放置しておくと、上記の病気に伴って流産や早産、子宮外妊娠をおこしたり、不妊になることもあるので、十分な注意が必要です。

 この病気は、パートナーと同時に治療を受けることが重要です。そうしなければ、いつまでたっても感染を繰り返す怖れがあります。また、治っても再発することがよくあります。既往歴のある人は、必ず性行為の最初から最後までコンドームを使用して予防し、さらに定期的に検査をすることが大切です。

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出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版