甲状腺ホルモン執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進
甲状腺ホルモンの基準値
T4(サイロキシン):4~12μl/dl
T3(トリヨードサイロニン):0.7~2.1ng/dl
FT4(遊離サイロキシン):0.9~1.9ng/dl
FT3(遊離トリヨードサイロニン):2.5~4.5pg/ml
TSH(甲状腺刺激ホルモン):0.3~3.7μU/ml
甲状腺機能亢進症・低下症などをチェック
甲状腺ホルモンは、糖代謝(糖消費)の増加や蛋白合成の促進、核酸代謝の促進など、生体の成長促進に関与しています。
甲状腺機能亢進症は甲状腺腫(喉(のど)ぼとけの下あたりが腫脹する)で発見されることが多く、暑がり、心臓がどきどきする、体重減少、全身がだるくなる、月経異常などの症状が現れます。一方、甲状腺機能低下症ではむくみや便秘、食欲不振、夏でも寒がるなどの症状が現れます。
医師が甲状腺の病気を疑った場合には、甲状腺ホルモンを検査します。これには、甲状腺から分泌されるサイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)、あるいはこれらが組織で作用するときの遊離サイロキシン(FT4)と遊離トリヨードサイロニン(FT3)、さらにこれらの分泌を調節するために下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が測定されます。
検査値からの対策
甲状腺ホルモンの測定により、甲状腺機能亢進症あるいは低下症の診断ができたら、ただちに治療が開始されます。
亢進症の場合は抗甲状腺薬やヨード剤の投与が行われ、低下症では甲状腺ホルモンの投与が行われます。
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疑われるおもな病気などは
T4、T3が高値
甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病など)、亜急性甲状腺炎、TSH産生腫瘍など
T4、T3が低値
甲状腺機能低下症(粘液水腫、クレチン病、橋本病など)
- 出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版