出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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陰門腟炎
いんもんちつえん

陰門腟炎とは?

どんな病気か

 女児の外陰部から腟にかけて細菌が侵入し、炎症を起こす病気です。外陰腟炎ともいいます。

原因は何か

 子どもの外陰部や腟の皮膚はとても薄く、細菌などの侵入を受けやすいうえ、成人女性で腟内を酸性に保ち感染を防いでいる外陰部の常在菌もいないため、女児に起こりやすいと考えられます。ブドウ球菌や溶連菌などが原因菌になります。

症状の現れ方

 女の子のおむつやパンツに黄色や薄緑色のおりものが付いていることがあります。年齢によっては外陰部のかゆみや痛みを訴えることもあります。時には、尿道のほうにも細菌が入って膀胱炎を起こすこともあります。

検査と診断

 腟の粘膜をぬぐって菌の培養を行い、原因になった病原体を検査します。

治療の方法

 抗生剤の外用剤が処方されます。場合によっては抗生剤の内服薬も処方されます。

 家庭で以下のように治療します。

①洗う:お湯でよく洗うようにします。石鹸はあまり使ってはいけません。

②塗る:おりもの、汚れをよく落として、処方された抗生剤の外用剤を塗ります。

③のむ:抗生剤の内服薬を処方されたら、医師の指示どおりに服用します。

病気に気づいたらどうする

 おむつやパンツにおりものが付着するだけでなく、かなり臭いのですぐに気づきます。気づいたら小児科を受診してすぐに治療をします。数カ月間で2~3回繰り返す子どももいます。何度も繰り返す場合には、小陰唇癒着症や処女膜閉鎖症が原因になっていることがあります。

陰門腟炎と関連する症状・病気

(執筆者:関西医科大学小児科学講座教授 金子 一成)

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コラム逆流腎症

関西医科大学小児科学講座教授 金子一成

 膀胱尿管逆流現象による腎臓への尿の逆流により、腎臓に障害が起こるものを逆流腎症といいます。軽いものも含めると膀胱尿管逆流現象の患者さんの約3分の1に起こるといわれています。

 原因として、膀胱尿管逆流現象の患者さんが繰り返し尿路感染症を起こすことや、排尿するたびに膀胱内の圧力が腎臓へ負担をかけることなどが考えられています。

 逆流腎症になってしまった腎臓は瘢痕形成といってやけどのあとのケロイドのようになります。程度がひどいと末期腎不全といって、人工透析や腎移植が必要な状態にまでなることもあります。膀胱尿管逆流現象が発見された子どもで、逆流腎症になる可能性が高いと考えられる場合には、膀胱尿管逆流現象に対する手術を行います。

陰門腟炎に関する医師Q&A