出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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ヘルパンギーナ
へるぱんぎーな

もしかして... 無菌性髄膜炎

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ヘルパンギーナとは?

どんな病気か

 夏かぜ疾患のひとつで、熱とともに口腔粘膜に水疱、潰瘍ができ、痛みのため飲んだり食べたりすることが普段より落ちる病気です。夏季(主に4~10月ころ)に多く、幼児を中心に流行します。

原因は何か

 主にコクサッキーA群ウイルスによります。ポリオウイルスやエコーウイルスと同じグループで、これらをまとめてエンテロウイルス、腸管ウイルスとも呼びます。

症状の現れ方

 経口、経気道感染でウイルスが侵入し、3~6日の潜伏期ののち、急に高い熱が出て発病します。熱は1~4日続き、口蓋弓、軟口蓋、口蓋垂に小さな水疱ができ、破れると1~4mm程度の潰瘍をつくります。これらは4~6日で治りますが、この間、痛みを伴うことが多く、食欲不振や不機嫌になり、よだれが出ます。

 高熱が続いたり、機嫌が極めて悪くなったり、何かいつもとかなり違うような時には、無菌性髄膜炎を合併していることもあるので注意が必要です。

検査と診断

 診断に役立つ特別の検査はありません。夏の流行期に口内所見が認められれば診断できます。

治療の方法

 このウイルスに対する特効薬はありません。対症療法が中心になります。

病気に気づいたらどうする

 すぐに小児科医の診察を受けてください。口のなかが痛くて食べることや飲むことが難しくなります。とくに高熱や飲むことができなくなるため、脱水症に注意してください。刺激の少ない、固くない物、たとえばヨーグルトやアイスクリームなどを与えてください。

(執筆者:藤田保健衛生大学小児科学教授 浅野 喜造)

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藤田保健衛生大学小児科学教授 浅野喜造

 ウイルスは大変小さな病原微生物で、他人の細胞がなければ自分の子孫をつくれません。一方、細菌は栄養分があれば他人の細胞がなくても子孫をつくれます。身近なところでは麻疹、風疹、水痘などがウイルスによる病気です。最近、鳥インフルエンザウイルスがヒトにも感染し、世界を震撼させていますが、これもウイルスの病気です。

 ウイルス感染症が成立するには、ウイルスに免疫のないヒト(感受性者)、ウイルスを排出するヒト(ウイルス病にかかっているヒト)、ウイルスが侵入する経路(感染経路)の3つが重要で、ウイルス感染症成立の3要素といいます。したがってウイルス感染症を予防するには、この3要素に対処しなければなりません。

 身近なウイルス感染症にかからないようにする最も確実で現実的な方法は感受性者対策で、人工的に免疫をつくること、すなわちワクチン接種です。ウイルスワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあります。生ワクチンには生きたウイルスが含まれていて、その病原性は弱められている(弱毒化)ものの免疫をつくる力(免疫原性)は保たれています。

 現在使われているものとしては麻疹、風疹、ポリオ、水痘、おたふくかぜのワクチンがこれに該当します。特徴として、ワクチンウイルスが体のなかで増殖するため、自然にかかった場合に近い免疫がつくられることがあげられます。そのために免疫が長く続くことも特徴です。

 一方、不活化ワクチンには、インフルエンザ、B型肝炎、A型肝炎などがあります。このワクチンには生きたウイルスは含まれていません。ウイルスは殺された状態(不活化)のため増殖ができないので、免疫をつくるためには何回も接種しなければなりません。生ワクチンも不活化ワクチンも規定どおり接種を受ければ十分な免疫ができます。また問題になる副作用もありません。

 定められた期間に接種を受けるもの(定期接種)と、定められてないもの(任意接種)がありますが、いずれも早めに接種を受けることが上手な受け方になります。小児科医に相談されるのがよいでしょう。

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