出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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おなかが痛む
おなかがいたむ

もしかして... 胆石症  腸閉塞

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おなかが痛むとは?

どのような状態か

 心窩部(みぞおち)のあたりから下腹部までの、どこの部分にでも起こる痛みです。

 急に起こった痛みか、慢性的に何日も続いている痛みか。キリキリと締めつけるような強くなったり弱くなったりを繰り返す疝痛か、同じ程度の強さが続く持続痛か。食事や排便と痛みの出現や程度に関係があるか、などによって、ある程度その原因を推測できる場合が多くあります。

 急に起こった強い痛みや、強い痛みが歩くことでさらに強まる場合は、重い病気のこともあるため、早急に医療機関を受診することが望まれます。

必要な検査と疑われる病気

 高齢者では急に起こった腹痛の原因が、腹部大動脈瘤破裂、胆石症腸閉塞などの重症の病気である場合も多くみられます。

 一方、慢性的な腹痛の場合は、重症な病気を伴わない胃や腸の動きの異常によるものが多いのですが、時にがんによる痛みのことがあります。

 急に強い腹痛が起こった場合には、受診当日に血液検査、X線検査、腹部の超音波検査(エコー)、そして必要に応じて胃内視鏡検査(胃カメラ)がよく行われます。慢性の痛みや痛みが繰り返す場合には、高齢者に多いがんを心配して、前記の検査以外にCT検査などがよく追加されます。

家庭での対処のしかた

 急に腹痛が起こった場合は、飲食飲水をやめて安静にします。熱を測り、脈をみることが大切です。腹痛が強く歩行によってさらに強まる場合、高熱や脈拍数の増加がある場合、黄疸、下血、血尿などがある場合は、救急外来を受診したほうがよいでしょう。

 慢性的な軽い腹痛でも、がんの症状のことがあるので、症状がだんだん強くなる時、やせる時、腹部にしこりがある時などは、できるだけ早く医療機関を受診します。また、このような症状がなくても、腹痛は軽度でも1週間以上続く、または繰り返す時には、受診したほうがよいでしょう。

 時に高齢者の場合には病気が重くても腹痛が若い人より軽い場合があるので、気をつける必要があります。

(執筆者:島根大学医学部第二内科教授 木下 芳一)

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