出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
疾病構造の変化
しっぺいこうぞうのへんか
疾病構造の変化とは?
死亡率の年次推移
主要死因別にみた死亡率の年次推移を図3に示します。昭和20年代以降、結核による死亡が大きく減少して、日本の死因構造の中心は感染症から生活習慣病に大きく変化しました。
昭和40年代以降は、脳血管疾患は高血圧対策が効を奏して、着実に減少してきました。その一方で、生活習慣病の終着駅でもある心筋梗塞を中心に心疾患は増加し続け、現在第2位となっています。悪性新生物(がんなど)は増加し続け、1981年以降は第1位となっています。
医療費の増加
昨今の医療費の変化を表2に示します。基本的には右肩上がり、つまり医療費が高騰しています。なぜ、このような変化が起きてきたのでしょうか。
ひとつの原因としては、人口の老齢化があげられます。しかし、それだけではありません。高度経済成長のなかで、食生活をはじめ、さまざまな生活習慣が変化してきました。遺伝的体質的素因もあることは確かですが、多くの病気が日常の生活習慣と深い関わりをもっています。
糖尿病などのように、遺伝的素因が大きく影響する病気も、戦中戦後の食糧難の時代には、患者さんはほとんどいませんでした。栄養過多の今日、患者さんの数は数十倍にも増えました。
がんのように、老化とのみ関わりがあるようにみえる病気でも、この30~40年来、胃がんや子宮がんが減り、代わって肺がんや乳がん、大腸がんが増えてきたのをみてもわかるとおり、生活環境や食習慣との関係が、きわめて密接であることがわかります。