出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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クーゲルベルグ・ヴェランダー病
くーげるべるぐ・ヴぇらんだーびょう

クーゲルベルグ・ヴェランダー病とは?

 脊髄性筋萎縮症のIII型に分類されます。軽症型、慢性型であり、1歳6カ月以降で発症します。自立歩行は獲得できますが次第に転びやすくなり、歩行障害が現れて立てなくなります。

 症状は下肢から明らかになってきて、徐々に上肢にも筋力低下の症状が出てきます。進行はゆっくりで、通常、生命の予後はよく、成人して生涯を送ることが可能なこともあります。

 ウェルドニッヒ・ホフマン病やクーゲルベルグ・ヴェランダー病などの遺伝性脊髄性筋萎縮症の診断では、体幹に近い筋肉が対称性に、上肢よりも下肢が強く障害されるパターンの筋力低下を示すことと、脱神経所見と呼ばれる舌のれん縮や手指の震え、筋電図検査や筋肉生検での脱神経所見が重要ですが、加えて遺伝子検査で確定診断ができます。I、II、III型とも、SMA遺伝子の欠失や変異を認めます。

(執筆者:新横浜リハビリテーション病院 鈴木 瑞枝)

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コラム不随意運動とは

横浜市立大学医学部神経内科 出井ふみ

 本人の意思に関係なく勝手に動く目的のない運動の総称で、不随意運動のなかにも多種多様なものがあります。大脳基底核という部分が障害されて起こることが多いのですが、大脳皮質、小脳、あるいは手足の筋肉や末梢神経の障害でも、不随意運動が起こりえます。

 不随意運動の原因疾患もさまざまですが、日常的によくみるのは、眼瞼れん縮(まぶたがピクピクする、眼が開かない)や本態性振戦(コップを持ったり、人前で字を書く時に手が震える)など、あまり心配のいらない疾患で、これらは比較的薬がよく効きます。

 しかし、パーキンソン病に伴う手の震え(振戦)も本態性振戦とよく似ており、なかには不随意運動が進行性の病気の初期症状のことがあります。