ギラン・バレー症候群
ぎらん・ばれーしょうこうぐん
ギラン・バレー症候群とは?
どんな病気か
急速に発症する左右対称性の四肢筋力の低下と腱反射の消失を主徴とする病気です。人口10万人あたり年間1~2人の発症数であり、年齢別にみると若年成人と高齢者に発症のピークがあります。
原因は何か
発症の1~3週間前に咳や発熱、咽頭痛、頭痛、下痢などの感冒(感染)症状があることが多いので、各種ウイルスや細菌による感染が引き金となり、自己免疫的機序(仕組み)を介して発症する病気と考えられています。
神経細胞には軸索と呼ばれる長い枝の部分がありますが、この病気では主に軸索のまわりを取り囲む髄鞘という部分に障害が出ます。髄鞘の障害には感染の結果できた自己抗体が関与すると考えられています。
症状の現れ方
感冒症状や下痢のあと1~3週間して比較的急速に四肢の筋力低下が現れますが、通常は2~4週間目でピークに達し、進行は停止します。進行停止後は徐々に快方に向かい、3~6カ月でほぼ完全に治りますが、10~20%の患者さんでは後遺症を残します。運動障害に比べて、感覚障害は軽いのが特徴です。
顔面の筋力低下も約50%の患者さんでみられます。舌や嚥下筋の支配神経に障害が出て、しゃべりにくい、飲み込みにくいなどの症状が現れることや、外眼筋支配神経に障害が出て複視(物が2つに見える)が起こることもあります。呼吸筋の麻痺は10~20%の患者さんで起こります。また、頻脈やそのほかの不整脈、起立性低血圧、高血圧など自律神経が損なわれた症状が現れることもあります。
症状の回復が不良な患者さんとしては、①年齢が60歳以上、②キャンピロバクター・ジェジュニ(細菌の一種)の先行感染がある、③口咽頭筋麻痺がある、④人工呼吸器が必要である、⑤電気生理学的に軸索障害の所見あるいは複合筋活動電位振幅の消失がある、⑥発症から治療開始までに2週間以上を経過した、などがあげられます。
検査と診断
髄液検査を行うと、発症から1週目を過ぎると蛋白量が上昇します。この場合、髄膜炎のように髄液の細胞数が同時に増えることはなく、この蛋白と細胞の所見が解離することがこの病気の特徴です。また筋電図検査や末梢神経伝導検査を行うと、神経伝導速度の遅延などの異常がみられます。
治療の方法
免疫グロブリンの大量静注療法、または血漿交換療法が有効な治療法です。免疫グロブリン大量静注療法は400mg/kgの用量で5日間行います。血漿交換療法の回数は症状の程度によって異なりますが、5m以上歩ける軽症例では隔日で2回、自分で立てない中等度例や人工呼吸器を装着されている重症例では隔日で4回くらい行います。これらの治療と並行して、筋力回復のためのリハビリテーションを行うことも重要です。
ギラン・バレー症候群に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、ギラン・バレー症候群に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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献血ヴェノグロブリンIH10%静注0.5g/5mL
血液製剤類
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水溶性プレドニン10mg
副腎ホルモン剤
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ソル・コーテフ注射用100mg[注射剤]
副腎ホルモン剤
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メドロール錠2mg
副腎ホルモン剤
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コートリル錠10mg
副腎ホルモン剤
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プレドニゾロン錠1mg(旭化成)
副腎ホルモン剤
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献血ベニロン-I静注用500mg
血液製剤類
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オルガドロン注射液1.9mg
副腎ホルモン剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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