転移性脳腫瘍
てんいせいのうしゅよう
- 脳神経外科
- 診療に適した科
転移性脳腫瘍とは?
どんな病気か
体のほかの部分に発生したがんが、主に血液を介して脳に転移したもので、悪性の腫瘍です。元のがんは、肺がん、次に乳がんの順に多くなります。最近、日本では大腸がんの増加が目立っています。乳がんは、頭蓋骨の下で脳をおおっている硬膜と呼ばれる膜に転移する特徴があります。
近年、転移性脳腫瘍の頻度は増えています。これは最初に発見されるがんの治療成績が向上し、患者さんが長く生存するためとも推察されます。
症状の現れ方
脳のなかでがんが転移したところの症状として、けいれん、麻痺、感覚障害、人格変化、精神症状、ふらつきなどが現れます。また、腫瘍が大きくなると頭痛、吐き気、嘔吐などの頭蓋内圧が高くなった時の症状が現れます。がん細胞が脳の表面を流れる髄液のなかに転移すると、手足のしびれ、背中の痛み、首が硬くなるなどの症状が現れます。
検査と診断
MRIやCT検査で診断します(図39)。転移性脳腫瘍は、ひとつであるとはかぎらず、2つ以上の病変が多発することがあります。そのため、多発した病変がないかどうか、MRIで薄い断層撮影を行い、詳しく検査します。まれなケースとして、MRIなどで腫瘍が発見され、切除された腫瘍ががんであった場合、手術後、全身にがんがないかどうか詳しい検査をすることがあります。
一部の腫瘍では血液検査で腫瘍マーカーなどを測定します。最初に発見されたがんを治したあと、腫瘍マーカーを定期的に測定し、値が上がる傾向にある時には転移性脳腫瘍がないかどうかを調べるためにMRI検査を行う場合があります。
治療の方法
2cm程度のがんが、まわりの神経が耐えられる大きさである5cm程度の大きさになるまでには、一般的に4カ月程度かかるといわれています。したがって脳に転移が発見された時に、最初に見つけられたがんや、脳以外に転移した部分の予後が3カ月以内であると、脳転移の治療にはあまり意味がなくなります。
手術治療を行う原則は、頭以外に最初にできたがんが治っているかどうか、少なくとも予後が6カ月以上期待でき、かつ転移性脳腫瘍がひとつである、または2個以上の転移があっても1回の手術で同時に切除できる場合です。この原則から外れる場合は、副腎皮質ステロイド薬などの薬物療法、脳全体への放射線治療、場合により定位的放射線治療などが選択されます。
ただし、転移性脳腫瘍が急速に大きくなり、生命への危険が差し迫っている場合には、救命の目的で、前記の原則から外れても手術を行う場合があります。そのほか例外としては、転移性脳腫瘍を切除することにより大幅に患者さんの機能回復が得られると予想できる場合があります。
手術でがんを切除したあとは、再発を抑えるために放射線治療が行われます。がんの種類によっては、抗がん薬や免疫療法が追加されます。
脳腫瘍に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、脳腫瘍に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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イソバイドシロップ70%
利尿剤
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ニドラン注射用25mg
アルキル化剤
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注射用サイメリン50mg
アルキル化剤
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アクロマイシン末
化膿性疾患用剤
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グリセオール注(500mL)
その他の循環器官用薬
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メニレット70%ゼリー30g
利尿剤
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イソソルビド内用液70%分包30mL「CEO」
利尿剤
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注射用レザフィリン100mg
その他の腫瘍用薬
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グリセリン・果糖配合点滴静注「HK」
その他の循環器官用薬
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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