重症筋無力症
じゅうしょうきんむりょくしょう
重症筋無力症とは?
どんな病気か
骨格筋の易疲労性や筋力低下を来し、症状の日内変動を特徴とする、自己抗体によって神経筋接合部の情報伝達が障害される病気です。神経末端が筋細胞表面の運動終板と接する部分を、神経筋接合部と呼びます。
神経細胞が興奮すると、神経末端からアセチルコリン(神経伝達物質)が放出されて、運動終板にあるアセチルコリン受容体にはたらいて筋肉の収縮を起こします。その後、アセチルコリンは、ただちにコリンエステラーゼという酵素により分解されて神経末端に戻り、アセチルコリンに再合成されます。
重症筋無力症は、自分のアセチルコリン受容体に対する抗体(蛋白質)を作り出し、この抗体が受容体を壊すことで神経筋の連絡を阻害するのが原因で発症します。発症には胸腺の異常の関与が推定されますが、その機序は不明です。
病型としては、眼筋型や全身型に分類されます。眼筋型の80%以上は2年以内に全身型に移行します。胸腺肥大や腫瘍を高率に伴い、種々の自己免疫疾患や悪性腫瘍を合併します。
症状の現れ方
多くは、眼瞼下垂や複視(ものが二重に見えること)といった眼症状で初発します。
眼以外では、顔面筋が侵されることにより、閉眼力の低下や、顔面の表情が少なくなって筋無力性顔貌を示してきます。その後、四肢近位筋が侵され、歩行が困難になってきます。
これらの症状の特色は、運動により悪化し、安静により改善するという易疲労性をもち、また朝方はよく、夕方に悪くなるという日内変動があるということです。
治療中に症状が急激に変化し、四肢の高度の筋脱力に加えて嚥下・呼吸障害が悪化し、呼吸不全に陥る状態をクリーゼといいます。これには重症筋無力症自体が悪化する場合と、抗コリンエステラーゼ薬の過剰投与で生じる場合があり、注意が必要です。
検査と診断
テンシロン試験という短期作動型コリンエステラーゼ阻害薬の静脈注射で、一過性に症状が改善するかをみます。筋電図では、低頻度で反復刺激し振幅が漸減するかを調べます。
抗アセチルコリンレセプター抗体検査は、全身型では80%が陽性で診断的価値の高い検査です。
これらの検査で診断を行います。
治療の方法
神経筋伝達障害については、コリンエステラーゼの活性を抑え、神経末端から放出されたアセチルコリンの作用を増強させる長期作動型抗コリンエステラーゼ薬が用いられます。
眼筋型では、この長期作動型抗コリンエステラーゼ薬が治療の中心となります。全身型の場合は、胸腺摘出術とステロイド薬の大量投与療法が根本的治療の原則です。
その他、ステロイド薬以外の免疫抑制薬、血液浄化療法、大量γ-グロブリン静注療法などがあります。免疫療法の進歩により死亡率は激減しています。
病気に気づいたらどうする
内科、とくに神経を専門とする医療機関を受診してください。
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重症筋無力症に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、重症筋無力症に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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ソル・コーテフ注射用100mg[注射剤]
副腎ホルモン剤
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ウブレチド錠5mg
自律神経剤
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水溶性プレドニン10mg
副腎ホルモン剤
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プレドニゾロン錠1mg(旭化成)
副腎ホルモン剤
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タクロリムス錠3mg「あゆみ」[自己免疫疾患用剤] ジェネリック
他に分類されない代謝性医薬品
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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