桐沢型ぶどう膜炎(急性網膜壊死)
きりさわがたぶどうまくえん(きゅうせいもうまくえし)
- 眼科
- 診療に適した科
桐沢型ぶどう膜炎(急性網膜壊死)とは?
どんな病気か
1971年に、浦山らにより報告されたぶどう膜炎です。その当時、欧米でも報告された急性網膜壊死と同一の病気であることがウイルスの分離により確認されました。
急性網膜壊死という病名のとおり、急性にぶどう膜炎が発症し、網膜血管が閉塞し、網膜が萎縮していきます。その後、続発性網膜剥離を引き起こし、最終的に失明にまで至る重症の病気です。
原因は何か
原因ウイルスとして、水痘・帯状ヘルペスウイルス、あるいは単純ヘルペスウイルスが確認されています。これらのウイルスは成人ではほとんどがすでに感染し、体内に潜んでいる(潜伏感染)と考えられていますが、多くの場合、生涯にわたりとくに問題なく経過します。
しかし、この桐沢型ぶどう膜炎では、これらのウイルスが再活性化(潜伏していたものが暴れだす)することにより病気を起こします。健康な人にも生じるため、再活性化の原因は明らかではありませんが、何らかの免疫異常が関与している可能性が示唆されています。
症状の現れ方
この病気は、突然の眼痛と視力低下で発症します。進行は急速で、抗ウイルス薬の投与がなければ、発症から1週間前後には網膜病変が全周に及びます。30~80%は両眼性ですが、発症の時期に差のあることがあります。
検査と診断
診断の決め手は明らかな臨床所見と、原因ウイルスの証明です。米国では、1994年に臨床症状・所見による診断基準が提唱されています。それによると、
①ひとつあるいは複数の境界鮮明な網膜壊死巣(滲出斑)が周辺部網膜に存在する。
②抗ウイルス薬が投与されなければ、病巣は急速に進行する。
③病巣は、病巣中心から周辺部に向かい拡大する。
④網膜細動脈の閉塞性病変の存在
⑤硝子体中と前房中の顕著な炎症反応
の5項目を満たす必要があります。
近年では、前房水、硝子体サンプルからウイルスの検出がなされ、PCR法を用いたウイルス検出が診断の助けとなっています。
区別すべき病気には、眼底に滲出性変化を示す病気があり、サルコイドーシス、サイトメガロウイルス網膜炎、悪性リンパ腫などがあげられます。
治療の方法
診断がつく以前から疑わしい場合は、抗ウイルス薬(ゾビラックス)の点滴投与が必要で、できるだけ早期に大量の投与が望ましく、補助的にステロイド薬、抗血小板薬の投与が行われます。続発性の網膜剥離に対しては、その発症予防にレーザー光凝固術が行われ、発症後は、網膜剥離手術、硝子体手術で対応します。
いちばん大切なことは、早期に診断し一刻も早く治療を開始することです。前述のように、治療しないと、発症から1週間足らずで網膜全周に病変が及び、急速に網膜壊死、網膜剥離に陥ります。予後は大変不良ですが、近年の抗ウイルス薬の進歩、レーザー治療、硝子体手術の発展に伴い、治療成績は改善してきています。
病気に気づいたらどうする
急激に生じる眼痛を自覚し、前眼部の充血が強い場合は、何らかのぶどう膜炎が起きている可能性が高いと考えられます。早急に眼科を受診してください。急性網膜壊死の可能性があると診断された場合、総合的に治療可能な施設を紹介してもらい、一刻も早く入院のうえ、抗ウイルス薬の投与を開始することが望まれます。
ぶどう膜炎に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、ぶどう膜炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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メドロール錠2mg
副腎ホルモン剤
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コートリル錠10mg
副腎ホルモン剤
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水溶性プレドニン10mg
副腎ホルモン剤
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プレドニゾロン錠1mg(旭化成)
副腎ホルモン剤
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フルメトロン点眼液0.1%
眼科用剤
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フルオレサイト静注500mg ジェネリック
その他の診断用薬(体外診断用医薬品を除く。)
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ボルタレン錠25mg
解熱鎮痛消炎剤
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ボスミン注1mg[急性低血圧時の補助治療用など]
副腎ホルモン剤
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オルガドロン注射液1.9mg
副腎ホルモン剤
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デカドロン注射液1.65mg
副腎ホルモン剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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ナースアンケート調査回答者さん 30代男性 2015年12月14日投稿
広島大学病院では、緑内障をはじめとして、網膜、硝子体疾患、ぶどう膜炎(眼球を包む、血管が豊富な組織が炎症を起こす病気)、白内障など、様々な眼科疾患を対象に積極的な治療が行われています。 先生方はどなた… 続きをみる
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名医
ようすけさん 30~40代男性 2013年01月21日投稿
20数年来のぶどう膜炎に似た奇病に悩まされており、毎年1回はどちらかの眼が数か月間見えなくなる症状で悩まされておりました。 昨年も同症状がおこりまして、完治を祈り、他院の眼科へ行きました。 約半年、… 続きをみる
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専門の先生で安心
患者さんの声さん 20代以下女性 2012年12月06日投稿
ブドウ膜炎を以前見てもらい、専門の先生がいるから安心できました。 雰囲気もよいです。 続きをみる