すべて
病名
 × 

網膜色素変性症
もうまくしきそへんせいしょう

  • 眼科
  • 診療に適した科

もしかして... 白内障  遺伝子治療  弱視

つぶやく いいね! はてなブックマーク

網膜色素変性症とは?

どんな病気か

 網膜の神経細胞が徐々に死んでいくことにより変性萎縮に陥り、その後に黒い色素が沈着してくる病気です(図47図47 網膜色素変性症)。最初に障害が起こる神経細胞は視細胞、なかでも暗い所ではたらく杆体細胞です。

図47 網膜色素変性症

 いろいろな病型があるため、発症の時期、症状、進み方などに広い幅があり、人によってさまざまです。日本では、3000~8000人に1人くらいの割合で発症すると考えられています。

原因は何か

 遺伝子の異常で起こる病気です。遺伝子異常の種類は、無数といってもよいほどたくさんあることがわかっており、その違いによって、多様な臨床像や経過をとると考えられています。遺伝の形式は、おおよそ常染色体優性、劣性、X連鎖性、孤発性の4つがあります。

症状の現れ方

 代表的な症状は夜盲、視野狭窄、視力低下、羞明(まぶしい)などです。多くの場合、最初に自覚する症状は夜盲です。日が暮れるとよく見えない、暗い所に急に入るとまったく見えない、時間がたってもほかの人のようには見えてこないなどです。逆に、明るい所でまぶしいという症状もあります。

 視野狭窄が進むと、歩く時や自転車に乗った時に足元がわかりにくかったり、横から出てくる人や車に気づきにくくなったりします。視力は長期間正常に保たれることもありますし、早期に低下することもあります。

 白内障を合併することも多く、その場合はかすみ感が現れます。

検査と診断

 眼底検査、視野検査、暗順応検査、網膜電図検査などで診断されます。眼底検査で、特徴的な眼底所見があれば診断は難しくありません。視野検査では求心性狭窄、輪状暗点などがみられます。網膜電図は特徴的で、初期から大きく振幅が低下する、あるいは消失するなどがみられ、診断を確定するのに有力です。

治療の方法

 薬物ではビタミンA、E、血管拡張薬などが一般的ですが、今のところ確実に有効という方法は見いだされていません。現在、精力的に研究が進められている遺伝子治療、移植医療、再生医療、人工網膜など先端的医療の臨床応用が実現すれば、治療が可能になるでしょう。

 根本治療はできませんが、症状に応じて対策を考えることは重要です。羞明には遮光眼鏡の装用、残されている視機能を有効に活用するには弱視眼鏡、拡大読書器などが有用です。また、白内障を合併している場合には、白内障手術・眼内レンズ挿入が効果的です。

病気に気づいたらどうする

 専門医に診断してもらい、自分の病気を正しく理解することがまず必要です。網膜色素変性症をめぐっては、患者さんの数が多いこと、遺伝病であること、治療が困難であることなどから、さまざまな問題、混乱があると感じています。病気を正しく理解することから始め、残存視機能の活用を考えること、カウンセリングを受けることが有意義と思います。

(執筆者:前帝京大学医学部附属溝口病院眼科教授 河野 眞一郎)

おすすめの記事

コラム飛蚊症

前帝京大学医学部附属溝口病院眼科教授 河野眞一郎

 飛蚊症はよくある症状で、心配になって眼科を受診する人もたくさんいます。しかし、大半はとくに病気とは関係がないものです。

 普通の飛蚊症は、硝子体のにごりが網膜に投影されて見えるもので、大人では多かれ少なかれ誰でもあるといっていいものです。硝子体は透明な組織とされていますが、完全に透明というわけではないからです。年齢とともに、そして近視が強いほど、硝子体には繊維の塊のようなにごりが出やすくなります(図48図48 飛蚊症の原因-a)。

図48 飛蚊症の原因

 飛蚊症は、晴れた空のように明るい背景、白っぽい背景でよく見えます。また、後部硝子体剥離が起こると、視神経乳頭の部分からはがれた厚くてリング状の後部硝子体皮質(ワイスリング)が飛蚊症の原因になります(図48図48 飛蚊症の原因-b)。

 この場合、輪状ないし楕円状の濃い影が視野の中心あたりを縦横に動きまわるので相当気になるようですが、これもとくに病気とはみなされません。「何とかしてほしい」という人もいますが、「どうにもなりません」といって納得してもらうしかありません。そのうち、あまり気にならなくなるものです。

 飛蚊症を訴えて受診する人の大半が病的ではない、というのは眼科医が共通して抱いている認識です。しかし、時に飛蚊症は重大な病気のサインになります。

 網膜剥離では、飛蚊症が前駆症状になることがめずらしくありません。硝子体の牽引に伴って網膜に裂孔ができる時、必ず網膜の血管は破綻して出血します。破綻する血管の太さや性質で量は違いますが、多かれ少なかれ出血が起こり、眼球の内部、硝子体腔へと拡散します。その出血が飛蚊症として自覚されるわけです(図48図48 飛蚊症の原因-c)。この場合の飛蚊症は、しばしば「墨を流したような」と形容されます。

 また網膜剥離では、飛蚊症と相前後して光視症(ぴかぴか光って見える、光が走るなどの症状)を自覚することもあります。光視症は、網膜が強く引っ張られるために起こる異常放電が原因と考えられています。顔面の打撲などで「眼から火が出る」というのがありますが、それも同じ理屈です。

 墨を流したような飛蚊症、光視症を自覚したら、ただごとではないと思ったほうがよいでしょう。早急に眼科医に受診する必要があります。

網膜色素変性症に関する病院口コミ

網膜色素変性症に関する医師Q&A