すべて
病名
 × 

黄斑ジストロフィ(先天性黄斑変性症)
おうはんじすとろふぃ(せんてんせいおうはんへんせいしょう)

  • 眼科
  • 診療に適した科

もしかして... 網膜色素変性症  色覚異常  弱視

つぶやく いいね! はてなブックマーク

黄斑ジストロフィ(先天性黄斑変性症)とは?

どんな病気か

 黄斑部の網膜、網膜色素上皮、脈絡膜などが徐々に変性萎縮に陥る病気です。黄斑部は中心視力を担う場所ですから、多くの場合、視力が低下します。

 黄斑ジストロフィとひと口にいっても病気の種類は多数あります。少し専門的になりますが、スターガルト型黄斑ジストロフィ(図50図50 黄斑ジストロフィ-a)、卵黄様黄斑ジストロフィ(図50-b)、錐体ジストロフィなどを例としてあげておきます。

図50 黄斑ジストロフィ

原因は何か

 原因は遺伝子の異常です。ジストロフィという病名は眼科にかぎらずよく出てきますが、遺伝子の異常によって組織や臓器が徐々に変性することを意味します。ちなみに網膜色素変性症もジストロフィに含まれる病気です。黄斑ジストロフィのいくつかでは、どの遺伝子に異常があるのかがわかっています。

症状の現れ方

 病気の種類によって違いますが、視力低下、中心暗点(中心が見えにくい)、傍中心暗点、羞明(まぶしい)、後天性色覚異常などが現れます。ある程度年齢が高くなってから症状が現れること、幼少時にすでに発症していて気づいた時にはかなり進行していることもあります。

検査と診断

 眼底検査でおおよその診断はつきます。両眼対称性であること、進行性であること、家族にかかった人がいること、薬物や感染症など外因がないことなどが重要な手がかりになります。

 蛍光眼底検査、網膜電図などの電気生理学的検査も診断を確実にするには必須です。異常を起こす遺伝子が突き止められているものでは、遺伝子の検索が決め手になります。

治療の方法

 網膜色素変性症と同様、有効な治療法は見いだされていません。症状に応じて、遮光眼鏡、弱視眼鏡、拡大読書器などの補助具を使用することが有用です。その他のリハビリテーションも重要です。いつの日か、先端的医療の進歩が根本的治療を可能にすることが期待されます。

病気に気づいたらどうする

 専門医の診察を受け、正しく診断してもらうことがまず基本になります。病気を受け入れ、その後のことを考えるのが合理的だと思います。

 多くの場合、黄斑ジストロフィは、視力の大幅な低下が避けられません。残存機能を活用すること、弱視学級や盲学校での勉学、職業訓練など、将来を見通して現実的に対応することが有益でしょう。

(執筆者:前帝京大学医学部附属溝口病院眼科教授 河野 眞一郎)

おすすめの記事

コラム超未熟児と網膜症

前帝京大学医学部附属溝口病院眼科教授 河野眞一郎

 出生体重2500g未満を未熟児といいますが、さらに1500g未満を極小未熟児、1000g未満を超未熟児(ないし超低出生体重児)といいます。

 超未熟児は、未熟児網膜症を発症する危険が特別高いとされています。超未熟児の在胎週数はおおむね20数週ですが、この時期では網膜血管はほんのわずかしか延びておらず、網膜のほとんどが無血管帯という状態です。そのような眼では、とくに進行が速く重症化するタイプの網膜症が起こりやすいのです。

 これを、厚生労働省分類ではII型網膜症、国際分類では「plus disease」として、定型的な経過をたどる網膜症とは区別しています。超未熟児の眼底は元々見にくく光凝固も難しいのですが、II型網膜症を発症すると硝子体はさらに混濁するため、一層見にくくなります。

 未熟児網膜症の管理・治療も進歩してきたので、普通の未熟児や極小未熟児では網膜症のため視機能が脅かされるということはかなり減ってきました。一方で、未熟児の管理が進歩したことによって超未熟児が生存する機会は増えています。重症の網膜症を起こしやすい超未熟児が増えることで、治療を要する網膜症、後遺症を残す網膜症を撲滅できないというジレンマがみられます。

コラム夜盲症

前帝京大学医学部附属溝口病院眼科教授 河野眞一郎

 俗に「鳥目」といわれる症状ですが、専門的には「暗順応障害」ともいいます。人間の眼は、明るさの異なるさまざまな環境のなかで物を見ることができます。真夏の太陽の下でも眼がくらんで見えないということはないし、夜中の星明りでも何とか物を見ることができます。

 それは主として、網膜に違う明るさのなかではたらく2種類の細胞をもっていることによります。明るい所ではたらく細胞(錐体細胞)と暗い所ではたらく細胞(杆体細胞)があるおかげで、いろいろな明るさのなかで物を見ることができるのです。

 明るい所から急に暗い所に入ると(たとえば映画館などで)すぐには見えませんが、徐々に眼が慣れてきて5分もすれば見えるようになります。その過程を暗順応といいます。その間に、見るはたらきの主役が錐体細胞から杆体細胞へとバトンタッチされるのです。

 夜盲症は、杆体細胞の機能が悪くなり暗順応ができなくなったために起こる症状です。明るい所から暗い所に入った時、日暮れ時などの状況で自覚したり、周囲の人が気づくことが多いようです。

 夜盲症の原因となる病気の代表が網膜色素変性症です。ほかにも、遺伝的に杆体細胞の機能が障害される先天性停止性夜盲、今では少なくなりましたがビタミンA欠乏症などで夜盲症が起こります。ビタミンA欠乏による夜盲症は、終戦後など栄養不足が深刻だった時代にはめずらしくなかったようですが、今では重症の肝硬変などでたまにみられる程度です。

 錐体細胞の機能が悪くなると、明るい所へ出た時にひどくまぶしくて見にくいという逆の現象が起こります。「昼盲」と呼ばれ、杆体細胞から錐体細胞へのバトンタッチができない(明順応障害という)ために起きる症状です。黄斑ジストロフィでは主要な症状ですが、網膜色素変性症でもよくみられます。