慢性副鼻腔炎
まんせいふくびくうえん
- 耳鼻咽喉科
- 診療に適した科
慢性副鼻腔炎とは?
どんな病気か
一般に急性副鼻腔炎が治らずに慢性化したものを慢性副鼻腔炎といいます。慢性化する理由は、鼻と副鼻腔をつないでいる小さな穴が細菌感染により生じる粘膜のはれにより閉じられてしまい、副鼻腔にたまったうみが鼻腔に排泄されにくくなることにあります。たまったうみにより、さらに粘膜のはれがひどくなり、鼻のなかに鼻茸が発生します。
一般的な慢性副鼻腔炎とは別に、気管支喘息を伴う慢性副鼻腔炎があります。一般的な慢性副鼻腔炎と比べ、鼻茸が多発性に発生し、鼻汁は非常に粘りがあり、難治性です。アレルギーと細菌感染が同時に起こることが病態に深く関係していると考えられます。
原因は何か
黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌などの細菌や細菌の作る毒素が病態形成に大変重要です。鼻のなかにある副鼻腔の換気と排泄の通路が粘膜のはれにより閉じてしまうことが主因と考えられています。
一方、気管支喘息を伴う慢性副鼻腔炎は特殊で、これとは異なった病態を示します。細菌感染も重要ですが、それとは別に気管支喘息の発作を起こすものと同じものが副鼻腔でもつくられ、副鼻腔炎をさらに重症化していると考えられます。そのほか、アレルギー性鼻炎に慢性の副鼻腔炎を伴う場合があり、アレルギー性副鼻腔炎と呼ばれます。
症状の現れ方
鼻汁が絶えず出てきてよく鼻をかむ、鼻が常につまっていて、口で呼吸をしている、いびきをかくなどの症状が持続します。両側に症状が現れることが普通です。そのほか、鼻汁がのどにまわる(後鼻漏)、においがわからない、頭痛などの症状が現れます。気管支喘息を伴う慢性副鼻腔炎の場合はにおいがわからなくなることが頻繁にみられます。
検査と診断
専門医が鼻をのぞいてみると、鼻汁や鼻茸を認めることが多くあります。鼻茸が認められたら、慢性副鼻腔炎の可能性が非常に高くなります。慢性副鼻腔炎の診断には画像検査が必要です。単純X線検査で、ほとんどの場合に副鼻腔の陰影を見つけることができ、慢性副鼻腔炎と診断できますが、より正確な診断をするにはCT検査が必要になります。
症状のよく似たものにアレルギー性鼻炎があります。慢性副鼻腔炎には、アレルギー性鼻炎と同様に鼻汁や鼻閉感がありますが、アレルギー性鼻炎にみられる鼻の掻痒感(かゆみ)やくしゃみを伴わないので見分けがつきます。
治療の方法
耳鼻咽喉科専門医で定期的に鼻・副鼻腔にたまった鼻汁をきれいに取ってもらいます。細菌感染に引き続いて発症する慢性副鼻腔炎には、マクロライド系抗菌薬を少量ずつ、長期に使用すると有効な場合が多く認められます。このような治療を数カ月行っても効果がないか、効果が不十分な場合には、内視鏡を使用した鼻内副鼻腔手術が行われます。
一方、気管支喘息を伴った慢性副鼻腔炎は一般に難治性です。まず気管支喘息の治療を内科の専門医にしてもらいます。そのうえで慢性副鼻腔炎に対して、耳鼻咽喉科専門医が抗ロイコトリエン薬を中心とした抗アレルギー薬を使用します。副腎皮質ステロイド薬の点鼻薬も頻繁に使用されています。
最も有効なのは副腎皮質ステロイド薬の全身投与ですが、副腎皮質ステロイド薬の量が多くなると副作用が心配になります。このような薬物治療を行っても、効果の少ない場合には、内視鏡を使用した鼻内副鼻腔手術が行われます。
慢性副鼻腔炎は、手術後の治療をおろそかにすると再発することがあるので、手術後にも耳鼻咽喉科専門医で診てもらうこと、手術前から使用していた薬を手術後も続けることが重要です。
病気に気づいたらどうする
鼻汁が3カ月以上持続する場合や、3カ月たたなくても鼻汁のほかに強い鼻閉感が加わった場合には、耳鼻咽喉科を受診してください。とくに、成人になってから気管支喘息にかかっていて、においがわからなくなったり、鼻汁や鼻閉感が現れたら、すぐに耳鼻咽喉科の専門医の診察を受けてください。
慢性副鼻腔炎と関連する症状・病気
副鼻腔炎に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、副鼻腔炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
-
▶
ラリキシンドライシロップ小児用10%
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
-
▶
オラセフ錠250mg
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
-
▶
ポンタールカプセル250mg
解熱鎮痛消炎剤
-
▶
クラリシッド錠50mg小児用
主としてグラム陽性菌,マイコプラズマに作用するもの
-
▶
セファゾリンナトリウム注射用0.25g「日医工」
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
-
▶
セファゾリンNa点滴静注用1gバッグ「NP」
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
-
▶
ベストロン耳鼻科用1%(50mg)
耳鼻科用剤
-
▶
ムコソルバン錠15mg
去たん剤
-
▶
ファロムドライシロップ小児用10%
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
副鼻腔炎に関する記事
-
第119回 納得のいく治療と、患者さまの満足追求への努力は惜しまない
加賀耳鼻咽喉科クリニック 加賀達美先生…快適に診療を終えてクリニックを後にしていただくように努めること、患者さま各々のご要望や環境を考慮すること…
おすすめの記事
副鼻腔炎に関する病院口コミ
-
鼻の図を使って丁寧に説明してくれました。
ほっぺちゃんさん 20代以下女性 2018年05月25日投稿
内科に通院していましたが、改善されず鼻がドロドロで頬がすごく痛く耳鼻科にきてみました。 医者は50代後半の男性の先生です。先生は物腰も柔らかく丁寧にわかりやすく説明してくれました。 鼻の中をチューブ… 続きをみる
-
お医者さんスタッフ、感じが良い
まめさん 30~40代女性 2018年02月01日投稿
風邪から鼻水、鼻づまりが酷くて以前も悪化させて副鼻腔炎になった事があったので耳鼻科に行かないとマズイな、と思いこちらの病院を受診しました。 看護師さんがテキパキとレントゲンやら問診をして下さり、細か… 続きをみる
-
副鼻腔炎的症状
のんさんさん 30~40代男性 2018年01月18日投稿
定期的に通っています。 治療方針をしっかり考えてくれ、症状についてわかるような本をプリントアウトしたものもくれ、詳しくわからない患者にも丁寧に説明してくれます。 たまに一方的に説明される感じの時もあ… 続きをみる
昔からアレルギー性鼻炎があり 慢性副鼻腔炎、鼻茸が沢山あると言われました。数点お聞きしたい事があ…