出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
口腔粘膜の褥瘡性潰瘍
こうくうねんまくのじょくそうせいかいよう
- 歯科
- 診療に適した科
口腔粘膜の褥瘡性潰瘍とは?
原因は何か
むし歯やつめ物(充填物)などによる歯の鋭利な出っ張り、合わなくなった入れ歯や金属冠、歯並びからはみ出した歯などによる慢性的な機械的刺激によって血行が悪くなり、上皮が壊死・脱落して生じます。
パーキンソン病や薬剤による口腔の不随意運動(オーラルディスキネジア)や自分で舌や唇を噛む癖(自咬癖)によっても生じることがあります。
症状の現れ方
歯が原因になっているものでは、舌のへりや頬の粘膜に潰瘍が生じます。入れ歯によるものでは下あごの内側(舌側)にできることが多いようです。いずれも潰瘍は比較的浅く、凸凹が少なく平滑で、灰白色ないし黄白色、時に赤色を示します。
通常、周囲の粘膜はわずかに盛り上がるだけですが、長引くと周囲が硬くなりしこり(硬結)になることがあります。潰瘍には接触痛や刺激痛はありますが、自発痛はあまりありません。
検査と診断
原因と思われる刺激物がある部位に潰瘍が生じていれば、褥瘡性潰瘍と診断されます(図3)。原因になっている刺激物を除去すれば1~2週間程度で治癒します(図4)。
舌にできて周囲に硬結があるものは、がんとの区別が必要で、時に一部の組織を切除して顕微鏡検査(生検)を行います。
治療の方法
原因になっている刺激物をできるだけ除去し、1~2週間程度経過を観察します。口のなかを清潔に保つことが大切で、潰瘍面に軟膏を塗付することもあります。