出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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がま腫(ラヌラ)
がましゅ(らぬら)

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がま腫(ラヌラ)とは?

どんな病気か

 舌下部、口底部に生じた貯留嚢胞をいいます。透明感のある半球状のふくらみで、ガマガエルののどに似ているのでがま腫と呼びます。

原因は何か

 唾液腺で作られた唾液が排出障害を起こして、組織中にもれ出し、唾液をためた袋状の病変ができたものです。舌下腺という粘液性の唾液を作る唾液腺に関連して発生します。

症状の現れ方

 口底部の粘膜下に片側性に発生し、徐々に大きくなり、嚥下時などの舌の運動を損なうようになります。

治療の方法

 大きいものでは、嚢胞壁の一部を切除して解放窓を口腔内に作ることで縮小させ、完治します。この手術を開窓術といい、外来小手術として行われます。または、舌下腺摘出術が行われます。

(執筆者:日本大学松戸歯学部顎顔面外科学主任教授 近藤 壽郎)

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日本大学松戸歯学部顎顔面外科学主任教授 近藤壽郎

 唾液腺は口腔内に唾液を分泌する臓器です。ヒトでは左右3対の大唾液腺があります。耳下腺、顎下腺、舌下腺です。これらの大唾液腺は口腔の外部に存在し、唾液を口腔に排出する導管をもっています。これら大唾液腺以外に小さな唾液腺が口腔粘膜下に存在します。これらは小唾液腺と呼ばれ、口唇腺、口蓋腺、頬腺、舌腺などがあります。

耳下腺

 耳下腺は耳前部から頬部ならびに下顎後方部の皮下に広がる、最大の唾液腺です。耳下腺の腺体のなかには顔面神経が通過しています。耳下腺の導管は頬粘膜に耳下腺乳頭として開口しています。耳下腺から分泌される唾液は漿液性(さらさらした水溶液)で粘稠性(粘り気)がありません。

顎下腺

 顎下腺は顎下部に位置しています。顎下腺管は顎下腺から出て舌下部中央の舌下小丘に開口しています。分泌される唾液は漿液性唾液と粘液性唾液の混合性で、粘稠性は比較的少ないものです。

舌下腺

 舌下腺は舌下部粘膜下に存在します。導管は短く、舌下小丘部付近に開口します。分泌される唾液は粘液性唾液で粘稠です。

小唾液腺

 小唾液腺は口腔粘膜下に600~1000個存在し、そのすべてが粘液腺です。小唾液腺が存在する部位によって、口唇腺、舌腺、口蓋腺、頬腺、舌口蓋腺、臼後腺などの名称がつきます。