喉頭乳頭腫
こうとうにゅうとうしゅ
- 耳鼻咽喉科
- 診療に適した科
喉頭乳頭腫とは?
どんな病気か・原因は何か
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染によって起こる、良性の腫瘍です。ウイルスは声帯粘膜上皮直下に潜んで増殖します。なお、通常生活で周囲の人へ感染することはありません。
症状の現れ方
乳頭腫により声帯の振動が妨げられ、声がれが起こります。徐々に症状が出ますが、声帯全体に腫瘍が広がった場合には、まったく声が出なくなることもあります。小児では放置していると腫瘍の増殖から気道狭窄を起こし、呼吸困難や喘鳴(ぜーぜーする呼吸音)、チアノーゼを来すこともあり、注意が必要です。
乳頭腫自体は本来良性ですが、再発することが多く、治療に難渋することが多い厄介な病気です。なかには数十回に及ぶ手術が必要な場合もあります。また、数%の割合でがん化することもあります。
治療の方法
現状では確立した治療法はありません。
現在はレーザーで蒸散する治療が主流です。乳頭腫が限局した腫瘤を形成している場合には適した治療法ですが、声帯全体に広がっている場合には、広範にレーザー照射を行うと術後の声は悪くなります。また、乳頭腫の再発に対して繰り返しレーザー手術を行うと、喉頭が瘢痕狭窄したり癒着を生じ、呼吸困難を起こす場合もあります。
他の治療法にインターフェロンの局所注入療法があり、再発を繰り返す例で劇的な効果が得られる場合があります。また、漢方療法による治療が有効であったとする報告もあります。
手術は全身麻酔下で行うのが一般的ですが、麻酔時に気管内挿管を行う際、チューブによって声帯周囲にあった乳頭腫が播種される恐れがあるので、気管内挿管を行わない特殊な全身麻酔下に行うなどの配慮が必要です。
小児の場合、まれに思春期以降に自然消退することが報告されています。
病気に気づいたらどうする
すみやかに専門医の診察を受け、適切な治療を受けてください。治療は長期戦となることが多いので、あせらず医師とよく相談して治療を進めてください。
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喉頭がんや下咽頭がんにより喉頭を摘出した場合には、喉頭を介して呼吸し発声することができなくなります(図20)。呼吸は前頸部に気管を直接縫いつけた孔をつくり、ここから行います。声を失い、口や鼻を通して呼吸ができなくなるため、いろいろな問題が起こります。
まず臭いや風味が弱くなるので、料理を焦がしたり味付けが濃くなるなどの問題が起こります。フーフーと熱いものを冷ますことができず、麺類をすすることも難しくなります。鼻がかめなくなるので鼻みずがたまります。鼻で空気を加湿したり粉塵や細菌を捕える作用がなくなり、乾燥した空気が前頸部の呼吸の孔から直接出入りするので痰が多くなり、冬場には気管から出血することもあります。
これらの問題については、それなりの対処法があります。声に関しては、空気を食道内に取り込んでゲップのようにして音を出す食道発声と、頸部から機械をあてて振動音を送ることによる電気喉頭発声、気管と食道の間に小さな道をつくり、発声時に前頸部の呼吸の孔を押さえて作製した小さな道へ空気を送り込み振動させる気管食道瘻発声(シャント発声)などの代用音声により、声を取りもどすことができます。代用音声、とくに食道発声の習得には練習が必要で、地域にある喉頭摘出者の会や言語聴覚士による指導を受けます。しかし、とっさの場合や助けを呼ぶ場合には代用音声では不十分なので、黄色いハンカチで合図するなどの工夫をしている地域もあります。
なお、喉頭を摘出した人は身体障害者3級に認定されるので、人工喉頭に要する費用は公的に支払われます。
乾燥した空気や粉塵、細菌などが前頸部の呼吸孔から入り込まないように、ガーゼやハンカチで作った小さなエプロンで孔をカバーします。また加湿器やネブライザーを購入して、乾燥しないように気を配る必要があります。鼻みずが多い場合には、耳鼻咽喉科で相談します。臭いについては食道発声ができるようになるとある程度回復しますが、ガスもれなどに気づかないこともあるので、警報機などの設置が必要です。
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