出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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膀胱憩室
ぼうこうけいしつ

膀胱憩室とは?

どんな病気か・原因は何か

 膀胱の一部が膀胱外に突出したものです。

 膀胱から尿道口までに、何らかの通過障害があって膀胱内の圧力が高まった時に、膀胱壁の一部に圧力に弱い部位があると、その部分が膀胱外に突出して憩室と呼ばれる状態になります。

 原因としては、前立腺肥大症神経因性膀胱などの下部尿路の通過障害によるものが多く、そのほか膀胱損傷の後遺症、膀胱手術の合併症、先天性などがあげられます。

症状の現れ方

 憩室は、長い時間をかけて次第に大きくなります。憩室内に尿がたまるため、繰り返す膀胱炎、憩室内の結石、憩室炎などの原因となり、頻尿、排尿時の痛み、尿の混濁、残尿感、下腹部違和感などの症状が出ることもあります。また、二段排尿(排尿後、時間がたっていないのにもう一度ある程度の量の排尿があること)がみられることもあります。

検査と診断

 排泄性尿路造影や膀胱造影、超音波検査などで診断します。膀胱憩室が認められた場合には、膀胱鏡検査で憩室の入口や、可能であればその内部を観察します。これは、前述のように憩室内に結石ができる以外に、膀胱憩室では悪性腫瘍が発生することがあるためです。

治療の方法

 憩室が小さくて自覚症状もなく、膀胱炎、憩室内の結石、憩室炎などの合併症がなければ経過観察します。

 ある程度の大きさがあるものや、強い自覚症状、合併症のある場合には手術が考慮され、多くの場合は内視鏡による電気凝固で治療します。悪性腫瘍を合併している場合には開腹手術が必要です。

病気に気づいたらどうする

 頻尿、排尿時の疼痛、尿の混濁、残尿感、下腹部違和感など膀胱炎の症状がある時には、膀胱憩室を始め何らかの原因が存在する場合があります。

 膀胱炎症状が長く続く時や繰り返す時には、泌尿器科を受診するようにしてください。

(執筆者:長崎大学病院血液浄化療法部助教 西野 友哉)

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長崎大学病院血液浄化療法部助教 西野友哉

 排尿後の残尿感や尿意が強いため、本人が耐えられないような強い痛み、または苦痛を伴う極端な頻尿となった状態を「膀胱しぶり」といいます。

 膀胱、尿道、前立腺などの急性炎症に伴って現れるもので、原因は膀胱炎、膀胱結石、膀胱腫瘍、膀胱異物、前立腺肥大などさまざまです。そのため尿検査のほか、X線検査など画像検査を行って疾患の検索を行います。

 治療は、原因となっている病気の治療が第一ですが、症状をやわらげる目的で鎮痛薬が投与されます。

 このような状態になった場合には、早めに泌尿器科を受診するようにしてください。

膀胱憩室に関する医師Q&A