出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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遺精と夢精
いせいとむせい

もしかして... 神経衰弱

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遺精と夢精とは?

どんな病気か

 性行為やマスターベーションによらずに射精してしまうことを遺精と呼びます。夢精はこのなかで睡眠中にみられるものを指します。

原因は何か

 夢精は、睡眠中に性的な夢やオルガズムを伴い勃起後に射精してしまうことです。時には、夢やオルガズム、勃起を伴わないこともあります。13~16歳の青年期によくみられる現象で、病気ではありません。

 夢精は、青年期では精液の成分をつくっている精嚢腺や前立腺が分泌液を大量に作るため、自律神経を介する射精反射が起こることが原因と考えられています。とくに夜間は、膀胱が尿で充満するため、これに接している精嚢腺や前立腺が圧迫されて夢精が発生すると考えられています。マスターベーションの回数が少ない人は夢精の頻度が多くなることが知られています。

 遺精も、何らかの性的刺激により起こる場合は病気とは考えられません。しかし、1日に2~3回以上あり、勃起や性感を伴わない場合は病気です。原因として、神経衰弱、精神興奮状態時、脊髄神経疾患でみられることがあります。

 なお、いわゆる射精症は性欲倒錯症の一種であり、異性に汚物を投げかけて性欲を満足させる病気で、遺精とは違います。

(執筆者:東神奈川駅ビル内科・泌尿器科院長 齋藤 和男)

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 精子は精巣でつくられ、精巣上体という精巣後部にある貯蔵庫で保存されています(図9図9 精路および射精のメカニズム)。射精時には、ここに貯蔵されていた精子が一気に精管を経由して尿道内に排出されます。同時に、精嚢腺、前立腺の分泌物も尿道に排出され、これらがまとまって外尿道口から射出され、精液になります。

図9 精路および射精のメカニズム

 精液の大部分は、精嚢腺、前立腺の分泌物から成っており、これに精子が混じっている状態です。

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