出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
レッシュ・ナイハン症候群
れっしゅ・ないはんしょうこうぐん
レッシュ・ナイハン症候群とは?
どんな病気か
細胞のなかの核酸という物質のなかに含まれているプリン体を再利用するためには、ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシールトランスフェラーゼという代謝酵素が必要です。この酵素のはたらきが先天的にほぼ完全に欠けている場合、ヒトの体で尿酸が過剰に産生されて高尿酸血症や痛風となります。この病気をレッシュ・ナイハン症候群と呼んでいます。
レッシュ・ナイハン症候群の発症頻度は、男児10万人に1人とされています。ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシールトランスフェラーゼの遺伝子は、性染色体のX染色体上に存在することがわかっているため、患者さんの母親が保因者となり、患者さんは男性に限られるはずですが、まれに女児の発症例が報告されています。
症状の現れ方
レッシュ・ナイハン症候群は、舞踏病様アテトーゼ(不随意運動のひとつ)、筋硬直、精神運動発達遅滞、唇や指先をかみちぎる自傷行為などの特異的な症状が現れます。そのほか、高尿酸血症が認められます。
また、ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシールトランスフェラーゼの部分欠損(酸素活性が低下している状態)の時は、これらの症状がなく、高尿酸血症や痛風だけのこともあります。
乳児期の早期から哺乳異常や発育の不良がみられ、その後、運動発達の遅延が明らかになってきます。1歳を過ぎるころより不随意運動が現れ、2歳を過ぎるころに自傷行為が現れてきます。
高尿酸血症は、生後まもなくから認められます。おむつに赤褐色の尿酸結晶が付着することもあります。