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シェーンライン・ヘノッホ症候群
しぇーんらいん・へのっほしょうこうぐん

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シェーンライン・ヘノッホ症候群とは?

どんな病気か

 自己免疫性(自分の体の成分に対して抗体をつくる)のアレルギー性血管炎で、紫斑、関節症状、腹部症状がみられます。アレルギー性紫斑病とも呼ばれ、小児によくみられます。血管炎は、血管に起こる炎症であり、原発性と続発性に分類されますが、原発性は、臨床症状や病理所見が多様であり、血管炎症候群として包括されています。

原因は何か

 感染(溶連菌、EBウイルス、アデノウイルスなど)、薬剤投与(抗生剤、サイアザイドなど)、食物摂取(ミルク、タマゴ、魚肉など)をきっかけに異常な免疫反応が引き起こされ、細小血管炎を起こします。血管周囲には好中球やマクロファージの浸潤(好酸球の浸潤はまれ)がみられ、白血球破壊性血管炎の組織像を示します。

症状の現れ方

 多くは上気道感染後に腹痛が起こり、主に下肢、臀部、上肢伸側に紫斑が認められます。本疾患の紫斑は、血小板減少時にみられる紫斑と異なり、やや隆起し、左右対称で、下腿伸側や臀部に多く発生します。

 全身症状としては、関節症状、腹痛、腎症状があげられます。関節症状は、足関節、膝関節の疼痛、腫脹です。腹痛は、下血を伴うことがあります。30~40%に腎障害による血尿、蛋白尿がみられ、ネフローゼ症候群を起こすこともあります。

検査と診断

 血小板数、血液凝固検査は正常です。出血時間(出血が自然に固まって止まるまでの時間を測る)も多くは正常範囲ですが、時に延長することがあります。毛細血管抵抗試験も陽性となることがあります。症例により血液凝固第XIII因子の低下がみられることがあります(とくに腹部症状の強い症例)。

 腎生検の所見は糸球体腎炎像を示し、微小変化群から半月体形成を伴うびまん性増殖性腎炎像までさまざまです。メサンギウム領域(メサンギウム細胞周囲の間質部分)へのIgAやC3を主とした免疫複合体が、びまん性に沈着しています。

治療の方法

 特異的な治療法はなく、対症療法を行います。紫斑が強い時は、安静、血管強化薬、抗線溶薬(トラネキサム酸)を使用します。腎機能低下など全身症状が強い場合は、副腎皮質ステロイド薬を投与することもあります。腹部症状があり、第XIII因子が低下している場合は、第XIII因子濃縮製剤を投与します。

病気に気づいたらどうする

 専門医を受診し、身体所見、血液検査(必要なら腎生検)により診断を確定する必要があります。

(執筆者:北里大学医学部血液内科学教授 東原 正明)

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コラム偽性血小板減少症

北里大学医学部血液内科学教授 東原正明

 血液検査において、採血管に入っているEDTA(抗凝固薬)が血小板膜に作用し血小板が凝集するので、自動血球測定器がそれらの凝集塊を赤血球や白血球としてカウントし、血小板の数値が実際より低く示される減少症です。塗抹標本では血小板凝集塊がみられます。EDTA以外の抗凝固薬を使用すれば正常値になります。

コラム血小板機能異常症

北里大学医学部血液内科学教授 東原正明

 血小板機能異常症は、先天性と後天性に分類されます。前者は遺伝性疾患で、血小板膜蛋白異常あるいは血小板放出能障害(血小板顆粒欠損症と放出機能異常症に細分される)により血小板機能が低下し、出血傾向を来す疾患です。

 後者は薬剤性(非ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、心血管薬、抗血小板薬など)、血液疾患、肝疾患、慢性腎不全、人工心肺などで血小板の機能が抑制されるものです。

①先天性膜蛋白異常症

 バーナード・スーリエ症候群、血小板無力症、トロンボキサンA2不応症があります。バーナード・スーリエ症候群は、血小板膜糖蛋白であるGPIb/IXの欠損症です。

 GPIbが欠損した血小板は血管内皮下組織のコラーゲンと結合したフォン・ヴィレブランド因子と結合できないために、出血部位への血小板の粘着ができず、出血傾向がみられます。症状は幼少時からの鼻出血、口腔内出血、外傷時の止血困難などです。

 血小板無力症は、血小板膜糖蛋白であるGPIIb/IIIaの欠損症です。フィブリノゲン(凝固因子のひとつ)がGPIIb/IIIaを介して血小板同士を結合させることができなくなるため、出血傾向がみられます。症状はバーナード・スーリエ症候群と同様です。

 トロンボキサンA2不応症は、凝固系の活性化で産生される強力な血小板凝集因子であるトロンボキサンA2が血小板に結合してもシグナルが伝わらない受容体異常症です。軽度の出血傾向がみられます。

②血小板放出能障害

 顆粒の異常症には、グレイ・プレイトレット症候群、ハーマンスキー・パドラック症候群、チュディアック・東症候群、ウイスコット・アルドリッヒ症候群などがあります。

 放出機能異常症には、アラキドン酸代謝に関係するいくつかの酵素の欠損症や、酵素活性を抑制する薬剤(アスピリンなど)によるものがあります。

コラム二次性あるいは薬剤起因性血小板減少症

北里大学医学部血液内科学教授 東原正明

 血小板減少とは、血小板数10万/μL以下の状態と定義されています。

●二次性血小板減少症

 基礎疾患があり、血小板造血の抑制や自己抗体産生による血小板の破壊により血小板の減少がみられる病態で、機序(仕組み)別に以下のように分類されます。

①遺伝性巨大血小板減少症

 ITPと誤診されやすい疾患群です。その一種であるメイ・ヘグリン異常では、赤血球くらいの巨大な血小板、血小板減少、白血球封入体がみられます。最近、原因として収縮蛋白ミオシン重鎖の遺伝子変異が報告されています。

 そのほか、バーナード・スーリエ症候群、アルポート症候群などがあります。

②自己免疫性疾患

 膠原病(とくに全身性エリテマトーデス)、甲状腺疾患などで血小板が減少することがあります。

③血小板造血異常

 急性白血病などの血液悪性腫瘍や固型がんの骨髄浸潤では巨核球低形成を起こします。

 巨核球は、血小板の母体ともいうべき細胞で、骨髄の巨核球の細胞質が毛細血管腔に突起を伸ばし、それがちぎれて血小板となり、血管内に放出されることがわかってきました。再生不良性貧血では造血幹細胞レベルでの異常により汎血球減少を来します。

④無効造血

 造血幹細胞が分化増殖する過程で死滅する病態で、悪性貧血、発作性夜間血色素尿症、骨髄異形成症候群などがあげられます。

⑤ウイルス感染症

 麻疹、風疹、インフルエンザなどでは、血小板自己抗体の産生や巨核球産生の抑制を介して血小板が減少します。

⑥同種抗体産生

 胎盤を通して母体の血小板に対する同種抗体(自分のものでない血小板膜抗原に対する抗体)や自己抗体が胎児に移行して血小板減少を起こす場合や、輸血後血小板減少症があります。

 輸血後血小板減少症とは、不適合輸血により輸注された血小板に対して同種抗体が形成され、輸血後1週間くらいから血小板が減少するものです。

⑦血管内微小血栓形成による消費

 血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、播種性血管内凝固症候群、抗リン脂質抗体症候群があげられます。

⑧脾臓内血小板プールの増加

 脾臓内に貯留する血小板数(血小板プール量)は、健康人は約30%程度ですが、肝硬変、バンチ症候群、悪性リンパ腫など脾腫がみられる疾患では増加し、また破壊が起こるため末梢での血小板数が減少します。

●薬剤起因性血小板減少症

 薬剤使用歴があり、最初に薬剤を使用してからある一定期間(通常1週間くらい)あとに血小板減少症が出現した場合、本症を疑います。以下のような2つの作用機序が考えられています。

①薬剤による血小板産生低下

 抗がん薬、代謝拮抗薬、サイアザイド系利尿薬、エストロゲン製剤やアルコールによる骨髄巨核球低形成のためです。

②免疫学的機序による血小板破壊

 ヘパリン、キニジン、キニン、ジギタリス製剤、金製剤、サルファ薬などは血小板抗体の産生を誘発する代表的な薬剤です。

 薬剤による血小板減少症を疑った場合は投薬の中止が第一です。中止後3週間以内に血小板数は回復します。