出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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アナフィラキシー
あなふぃらきしー

  • 内科
  • 診療に適した科

アナフィラキシーとは?

どんな病気か

 アナフィラキシーは即時型アレルギーの症状が複数の臓器にみられる病態で、急激に全身の血管の拡張を来すとショックになり、時には死に至ることもあります。

原因は何か

 アナフィラキシーの原因抗原は食物、昆虫の毒、薬剤など多岐にわたりますが、患者本人が認識しないほどの極微量の抗原の侵入によって重篤なアナフィラキシー症状が引き起こされることも少なくありません。

症状の現れ方

 症状は、口内異常感、咽頭部狭窄感、悪心に続き、全身のじんま疹、腹痛などを生じます。血圧が低下して意識消失を起こす状態をアナフィラキシーショックといいます。

検査と診断

 食物が原因となる場合では、患者は通常複数の食材を摂取しているため、原因食品をすぐには同定できません。また、食物依存性運動誘発アナフィラキシーという特殊な病型では、原因食品を摂取したのみでは症状がみられず、運動などの二次的要因が加わって初めて発症するため、原因食品の同定がさらに難しくなります。

 原因抗原の同定には、まず詳しく問診をして原因の見当をつけます。それに基づいて皮膚テスト、血液検査にて抗原と反応する免疫グロブリンE(IgE)ができていることを確認します。現状ではこれらの検査の精度は必ずしも高くない場合もあり、問診と併せて診断します。

治療の方法

 ショック状態では、エピネフリンの筋肉内注射とともに血管確保、気道確保を行ないます。症状の遷延予防にステロイド静脈内投与が併用されます。

 アナフィラキシーの予防には、根本的な治療法が確立されていないため、原因をつきとめて避けることが必要となります。

病気に気づいたらどうする

 エピネフリンの自己注射キットを持っている方は、大腿部に使用します。その後、医療機関を受診することが必要です。

(執筆者:島根大学医学部皮膚科教授 森田 栄伸)

アナフィラキシーに関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、アナフィラキシーに関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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コラム抗ヒスタミン薬

島根大学医学部皮膚科教授 森田栄伸

 ヒスタミンはヒスチジンというアミノ酸から合成される活性アミンの一種で、動物、植物の両方に広く存在しています。動物では、アレルギーやショックなどの症状を起こす主要な物質です。リンパ球などの白血球を活性化して炎症にも関係します。

 皮膚や小腸、肺などの臓器ではマスト細胞に含まれており、免疫グロブリンEという抗体と抗原の結合により分泌されます。

 ヒスタミンは、皮膚では毛細血管の拡張や浮腫、かゆみを起こし、この反応がアレルギーの症状となります。ヒスタミンが多量に分泌されると血圧が下がり、ショックとなります。これらの作用は、ヒスタミンH1受容体にヒスタミンが結合して起こるもので、この作用を止める薬が抗ヒスタミン薬と呼ばれています。

 じんま疹や湿疹などかゆみを伴う疾患に対して十数種類の抗ヒスタミン薬が治療に使われています。

 ヒスタミンは脳内では神経伝達物質として覚醒のはたらきがありますが、古いタイプの抗ヒスタミン薬は、脳内へも浸透しやすく、脳内でのヒスタミン抑制作用を示します。このため、抗ヒスタミン薬を服用すると眠気やふらつきなどの副作用がでてきます。また、抗ヒスタミン作用以外にコリンなどの神経伝達物質に対しても抑制作用を示し、このため口が渇くなどの副作用がでる場合もあります。しかし、新しい抗ヒスタミン薬はこうした副作用が少なく安全性が高まっています。

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