出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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床ずれ(褥瘡)
とこずれ(じょくそう)

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床ずれ(褥瘡)とは?

どんな病気か

 持続的な圧迫によって、組織の血流が減少・消失し、虚血状態、低酸素状態になって、組織の壊死が起こった状態です。

 寝たきりや麻痺などで体位を変えられない人にできます。腰の仙骨部や足の踵の部分、骨が突出している部分など、圧迫を受ける部分に現れます。栄養不良状態があると創(傷)が治りにくくなり、慢性化しやすくなります。

症状の現れ方

 初めは圧迫を受けた部位が赤くなり、水疱や紫斑が現れます。浅い褥瘡では浅いびらんがみられるのにとどまりますが、深い褥瘡では急性期を過ぎたころに創面が徐々に黒ずんで、壊死組織が明らかになってきます。

 このような黒ずんだ壊死がみられる黒色期、さらにこれらが取り除かれると壊死に陥った皮下脂肪や筋肉が汚い黄色を示す黄色期、治癒機転がはたらいて肉芽組織が再生し創面が赤くなる赤色期、創の周囲から上皮が形成されて皮膚がおおわれる白色期の時期があります。

 慢性のものでは、創が洞穴状に皮下に拡大するポケットを形成する場合もあります。感染があると悪臭を伴うことがあり、体力が衰えていると褥瘡の感染が全身的な感染を引き起こすこともあるので注意が必要です。

検査と診断

 D(深さ)、E(滲出液)、S(大きさ)、I(炎症)、G(肉芽組織)、N(壊死組織)、P(ポケット)の程度を評価するDESIGNツールで褥瘡の状態を判定します。

 感染がある場合は細菌培養を行って、どのような菌の感染があるかを調べる場合があります。

治療の方法

 深い褥瘡では壊死組織の除去や洗浄を行い、時期に応じた外用薬の処置をします。ポケットを形成するものでは、切開をして露出させる場合があります。消毒は必要ではなく、生理食塩水や水道水で患部を洗浄したあとに外用薬や被覆剤を貼付します。

病気に気づいたらどうする

 すぐに医師に相談してください。病巣部に圧迫をかけないように体位交換をたびたび行うなどの注意だけでなく、栄養をつけることも重要です。

(執筆者:西神戸医療センター皮膚科部長 堀川 達弥)

褥瘡に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、褥瘡に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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コラム光老化

西神戸医療センター皮膚科部長 堀川達弥

 「老化」とは人が年をとる時に起こる体の変化です。皮膚の老化はしわが増えたり、しみができたり、あるいは皮膚が薄くなったりします。

 紫外線による皮膚の老化を「光老化」といいます。繰り返し日光(紫外線)にあたる部分は、しわやしみができやすいことがわかっています。このような部分では皮膚の弾力線維が変性するため、皮膚のはりがなくなります。また、きめが荒くなり、つやがなくなり、くすみが出て皮膚が黄色っぽくなります。

 このほかに、紫外線に繰り返しあたった皮膚は、皮膚がんや皮膚がんの前駆症状が現れやすくなります。

 日焼けしやすいスキンタイプIの人(紫外線で赤くなりやすく、その後、黒くなりにくい)は、紫外線の悪い影響を受けやすいので注意が必要です。

 光老化を予防するためには、外出時には帽子、日傘、サンスクリーンなどを用いて、紫外線が直接皮膚に作用しないように注意することが重要です。

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