毛嚢炎(毛包炎)
もうのうえん(もうほうえん)
毛嚢炎(毛包炎)とは?
どんな病気か
ひとつの毛包(毛穴の奥で毛根を包んでいるところ)にブドウ球菌が感染して起こる皮膚の病気です。
原因は何か
黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(主に表皮ブドウ球菌)、あるいは両方が同時に感染する場合があります。毛包部にごく軽い傷がついた時、皮膚の湿った状態が長く続いた場合、あるいは、副腎皮質ステロイド薬を塗っている場合などが誘因となります。
症状の現れ方
毛包の上部だけの浅い部分の感染症で、個々の発疹は毛包に一致した赤い丘疹(ぶつぶつ)ないしは中央にうみをもった丘疹(膿疱)で、まわりに赤みがあります(図39)。かゆみはなく、痛みもほとんどありません(表在性毛包炎)。
丘疹や膿疱の部分がやや硬く触れる根をもったものは、おでき(癤)の軽い、ないしは小さいもので、軽い痛みがあり、表皮ブドウ球菌より黄色ブドウ球菌による場合が多いようです(深在性毛包炎)。首の後ろ・太もも・お尻などにできることが多く、1個あるいは数個~数十個になることもあります。
検査と診断
膿疱のうみを培養すると、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、あるいは両方の菌が検出されます。にきび(痤瘡)の一つ一つのぶつぶつは毛包炎ですが、ニキビは、毛包炎・面皰(黄白色に見える毛穴が詰まった状態で炎症がないもの)・にきび痕が混在している状態をいい、思春期の人たちの顔・胸・背中の上部に多くみられます。かみそり負け(尋常性毛瘡)の一つ一つのぶつぶつも毛包炎です。
あせもにブドウ球菌が感染して起こるエクリン汗孔炎や汗孔周囲炎は、毛包炎に似ていて区別は難しいのですが、乳幼児の首周囲や肘の内側など汗のたまりやすい場所にみられ、夏に多いことが診断に参考となります。
病気に気づいたらどうする
たまにできる程度であれば気にすることはありません。次々とたくさんできる場合は、毛包炎ができるきっかけ(首筋や太ももではいつも衣類で肌が刺激を受けていないかどうか、副腎皮質ステロイド薬を必要以上に塗っていないかどうか、など)がないかを考えてみましょう。
思いあたる誘因もなく、長く続くようであれば皮膚科専門医に相談しましょう。
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コラム用語の解説
*ブドウ球菌:球形ないし卵円形で、ブドウの房状に集まる細菌。細菌感染で起こる皮膚の病気では原因菌の大半はこの細菌です。
*連鎖球菌:球形ないし卵円形で、数珠状に配列している細菌。人や動物に感染して猩紅熱、丹毒、扁桃炎などを起こします。
*コアグラーゼ:血漿を固まらせるはたらきのある蛋白質。黄色ブドウ球菌はこの蛋白質をつくれますが、表皮ブドウ球菌はつくりません。コアグラーゼをつくらないブドウ球菌は、ほかにもたくさん種類があります。
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