肺膿瘍
はいのうよう
- 呼吸器科
- 診療に適した科
肺膿瘍とは?
どんな感染症か
肺膿瘍とは、肺胞性肺炎である細菌性肺炎が重症で広範囲にわたるため、肺の組織が壊されて腐ってしまい(壊死)、うみがたまる(膿瘍)ことをいいます。
肺化膿症、肺膿瘍、肺壊疽は、ほとんど同意語として使われています。結核、真菌、寄生虫によるものは、化膿性炎症による膿瘍形成ではないので肺化膿症には含みません。
とくにほかの病気がない場合を原発性(一次性)肺膿瘍といい、肺炎に引き続いてみられます。続発性(二次性)肺膿瘍は、肺がん(扁平上皮がんなど)の中心部が壊死に陥り、これに感染が加わって生じたものや、周囲の臓器の炎症が広がって生じたもの(横隔膜下膿瘍)です。
気管とつながれば膿瘍・壊死物質(うみと腐った物質)が外に出て空洞がつくられ、この空洞のなかに壊死物質がたまります。
症状の現れ方
寒気を伴う高熱、咳、痰、胸痛が初めに起こります。やがて痰に血が混じるようになり、色の濃い多量の痰が排出されます。
検査と診断
細菌性肺炎の場合とほとんど同じですが、胸部X線検査では、空洞化した陰影のなかにニボーといわれる水平(鏡面)形成像がみられるのが特徴です。黄色ブドウ球菌、緑膿菌、嫌気性菌による肺炎にみられやすくなります。
治療の方法
強力な抗生物質を長期間使用し、嫌気性細菌に対する抗生物質も追加します。治るまで1~2カ月かかり、治りにくい時には外科的切除術が行われます。病原菌と投与抗生物質の種類については肺炎と同じです。
なお、A群β溶血性連鎖球菌を始めとする口腔内に常在する緑色連鎖球菌群、そのなかでもとくにミレリグループ連鎖球菌によるものは、不顕性誤嚥(本人が気づかない誤嚥)から嫌気性菌と混合感染を起こし、肺膿瘍や膿胸を起こします。誤嚥のエピソードは危険因子です。口腔ケア、歯周病の治療なども重要です。
病気に気づいたらどうする
呼吸器疾患専門医のいる病院(とくに国立病院機構の呼吸器専門病院など)を受診し、相談する必要があります。
肺膿瘍と関連する症状・病気
肺膿瘍に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、肺膿瘍に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
-
▶
アジスロマイシン錠250mg「DSEP」 ジェネリック
主としてグラム陽性菌,マイコプラズマに作用するもの
-
▶
リンコシンカプセル250mg
主としてグラム陽性菌に作用するもの
-
▶
バレオンカプセル100mg
合成抗菌剤
-
▶
エリスロシン錠100mg
主としてグラム陽性菌,マイコプラズマに作用するもの
-
▶
ジスロマック細粒小児用10%
主としてグラム陽性菌,マイコプラズマに作用するもの
-
▶
セフジトレンピボキシル細粒10%小児用「日医工」
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
-
▶
セフメタゾールナトリウム静注用0.5g「日医工」
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
-
▶
セフォチアム静注用1gバッグ「日医工」
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
-
▶
メロペネム点滴静注用バッグ0.5g「日医工」 ジェネリック
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
おすすめの記事
肺膿瘍に関する医師Q&A
肺癌ステージ3Aの治療法について
対象者は60代後半の女性になります。 昨年に胸の痛みがあったため、検査を受けたところ肺に影があり、気…
昨年7月に右の色素性腎細胞がんの手術を受しセンチで転移は無くダヴィンチ方式で術後5日で退院しました。
昨年7月に色素性腎細胞がんの手術を受けました。癌だけ切除し腎臓は残り転移は無く9月のCTは良好で、次のC…
家族の事ですが昨日の夜から微熱38度から37.5度位が続きます。今日は朝は36.9度昼は38度 15時頃は39度で…