出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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尖圭コンジローマ(男性)
せんけいこんじろーま(だんせい)

もしかして... 陰茎がん  子宮頸がん  いぼ

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尖圭コンジローマ(男性)とは?

どんな感染症か

 尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス6型/11型により引き起こされる性感染症で、このウイルスの16型、18型などは陰茎がんの発生と関連しています(女性では子宮頸がん)。

症状の現れ方

 男性では、亀頭、冠状溝、包皮、肛門周囲、外尿道口に病変が生じることが多く、まれに尿道や膀胱に発生します。潜伏期間は1~6カ月(平均3カ月)です。病変は痛みはなく、乳頭状や鶏冠状(とさかのような)のいぼが増殖し、集まってみられたり、多発する傾向があります。接触により出血したり、感染を起こし、ただれたようになることもあります。

検査と診断

 尖圭コンジローマはその特徴的な外観から診断が容易ですが、確定診断には病理組織学的診断が必要です。可能であればヒトパピローマウイルスのDNA型を調べることが望ましいとされています。

治療の方法

 尖圭コンジローマには自然消失が認められることもありますが、原則的には何らかの治療が必要です。外科的治療と薬物治療がありますが、日本では外科的治療が中心です。近年、イミキモド(ベセルナ)クリームが発売されましたが、これは隔日で週に3回病変部に塗布するものです。コンジローマが消えるまでには時間がかかるため、16週間継続する必要があります。

病気に気づいたらどうする

 陰茎にできるほかの腫瘤形成病変(いぼのようなかたまり)や陰茎がんと区別するため、泌尿器科を受診してください。いろいろな治療法を用いてもある程度再発することは予想されるので、長期間の経過観察が必要です。眼で見てわかるコンジローマがある時には感染性が高いと考えられるので、性行為は避けたほうがよいでしょう。

(執筆者:北海道社会事業協会帯広病院泌尿器科主任部長 國島 康晴)

性行為感染症に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、性行為感染症に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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コラム軟性下疳と鼠径リンパ肉芽腫症

北海道社会事業協会帯広病院泌尿器科主任部長 國島康晴

 1948年に制定された性病予防法では、梅毒、淋病、軟性下疳、鼠径リンパ肉芽腫症をその対象疾患としていました。制定当時は流行していた性感染症でしたが、近年では一変しています。

 軟性下疳は感染部位に痛みの強い壊疽性潰瘍と鼠径リンパ節の化膿性炎症を特徴とします。1945~50年に流行しましたが、近年では海外で感染する人がわずかにいるのみです。

 鼠径リンパ肉芽腫症はクラミジア感染症で性感染症ですが、熱帯地方に多く日本ではまれです。初期の水疱は痛みはなく1~2週間で治ります。1週間~2カ月後に鼠径部のリンパ節がはれて化膿します。

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北海道社会事業協会帯広病院泌尿器科主任部長 國島康晴

 性感染症は性行為により伝播する感染症で、原因病原体はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)、B型肝炎ウイルスなどのウイルスから原虫、細菌、寄生虫まで多岐にわたります。

 その罹患率は増加傾向にありましたが、2002年をピークにやや減少に転じています。

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