出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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つつが虫病
つつが虫びょう

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つつが虫病とは?

どんな感染症か

 つつが虫病の原因菌はツツガムシというダニがもつリケッチアで、ツツガムシに草むらなどで刺される(吸着される)と、菌が体内に入って発症します。

 治療が遅れると重症となり、死亡することもあります。感染しやすい時期は、ダニの活動する春~初夏と秋~初冬の2つの時期で、最近は毎年500人程度の報告があります。

症状の現れ方

 刺されて5~14日の潜伏期ののち、39℃以上の高熱とともに発症し、皮膚には特徴的なダニの刺し口(かさぶた)がみられ、その後数日で体幹部を中心に発疹が出ます。発熱、刺し口、発疹は主要3徴候と呼ばれます。

 倦怠感、頭痛、刺し口近くのリンパ節あるいは全身のリンパ節の腫脹(はれ)も多くみられる症状です。重症例では播種性血管内凝固症候群や、多臓器不全で亡くなることもあります。

検査と診断

 一般検査では、CRP強陽性、肝酵素の上昇がほとんどの例にみられ、主にツツガムシに対する血清抗体を測定することで確定診断されます。

治療・予防の方法

 主要3徴候と発症した時期から、つつが虫病の可能性を疑ったら、ただちに治療を受けることが重要です。治療にはテトラサイクリン系の抗菌薬が第一選択薬です。

 予防はダニに刺されないことで、発生時期を知り汚染地域への立ち入りを避けること、立ち入る際にはダニの吸着を防ぐような服装(長袖、長ズボン)をしたり、虫よけスプレーを使うこと、作業後には入浴して吸着したダニを洗い流すことなどが効果的です。

病気に気づいたらどうする

 発熱、刺し口、発疹があって、時期、感染する可能性のある場所への立ち入りなどがあれば、つつが虫病の可能性を疑ってすぐに受診することが重要です。

(執筆者:岡山県環境保健センター所長 岸本 寿男)

つつが虫病に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、つつが虫病に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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コラムつつが虫病の古典型と新型

岡山県環境保健センター所長 岸本寿男

 つつが虫病は古くは山形県、秋田県、新潟県などで夏季に河川敷で感染する風土病で、「恙なく」という言葉が生まれるほど、死に至る病気として恐れられていました。これはリケッチアをもつアカツツガムシというダニに吸着されて発症するもので、古典型つつが虫病といいます。

 第二次世界大戦後、この古典型はほとんどみられなくなり、かわってタテツツガムシやフトゲツツガムシというダニがもつ、別の型のリケッチアによる新型つつが虫病が出現し、現在では北海道、沖縄など一部の地域を除く全国で発生がみられています。

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