出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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フェニルケトン尿症
ふぇにるけとんにょうしょう

もしかして... フェニルケトン尿症

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フェニルケトン尿症とは?

どんな病気か

 必須アミノ酸であるフェニルアラニンからチロシンへ転換するフェニルアラニン水酸化酵素の異常によって生じます。

症状の現れ方

 新生児期は無症状ですが、生後6カ月ごろから知能障害やけいれん、赤毛や色白などの色素欠乏が現れるようになります。

治療の方法

 出生後早期から、フェニルアラニンを制限した食事療法(フェニルアラニン除去ミルクや低蛋白食)で障害を予防することができます。この食事療法は、成人期も続けたほうがよいとされています。最近、一部の軽症患者では、食事療法以外にも補酵素(酵素のはたらきを助ける)であるビオプテリンの投与で血中フェニルアラニンが低下することが報告されています。

 女性の患者が妊娠した場合、母体の高フェニルアラニン血症に胎児が曝露されると、低出生体重、知能障害、小頭症、心奇形が生じ、これを母性フェニルケトン尿症といいます。これらの症状は、母体のフェニルアラニン値を良好にコントロールすることで予防することができます。

 一部の高フェニルアラニン血症は、ビオプテリンの欠乏によっても生じることも知られています。尿や血液中のプテリジンの分析、ビオプテリンの負荷試験で鑑別診断がなされます。治療法もフェニルケトン尿症と異なります。

フェニルケトン尿症と関連する症状・病気

(執筆者:大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学講師 岡野 善行)

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