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病的骨折
びょうてきこっせつ

病的骨折とは?

どんな外傷か

 正常な強度をもっていない骨、すなわち病的な状態にある骨は、普通なら骨折を起こさないような軽微な1回の外力によって折れることがあります。これを病的骨折といいます。正常な骨に繰り返し外力が加わって発生する疲労骨折とは、その形態も経過もまったく違います。

原因は何か

 病的な状態を起こす原因としては、骨の腫瘍、がんの骨転移化膿性骨髄炎(骨が細菌に感染した状態)、骨系統疾患(先天的な骨の病気で、多くは遺伝性)、副甲状腺機能亢進症など難しい病気もありますが、最も一般的なのは骨粗鬆症でしょう。

 重い骨粗鬆症になると、つまづいただけで大腿骨頸部骨折を起こすこともありますし、明らかな外傷を受けた覚えもないのに、脊椎が次々に圧迫骨折を起こす例もめずらしくありません。なかには、階段を上るなどの日常の生活動作において少し脚に力が入っただけで恥骨が折れる例もあります。

治療の方法

 病的骨折が発生してしまった後の骨折自体の症状や治療は、一般の外傷性骨折のそれらと大きく異なるものではありません。ただし、病的骨折については原因になっている疾患の治療を併せて行う必要があります。

 なお、閉経後の女性に多い骨粗鬆症は、薬や運動療法でその発生や進行を予防できる可能性の高い疾患なので、閉経後の女性は定期的に骨塩量検査を受けることをすすめます。

(執筆者:慶應義塾大学医学部非常勤講師 竹田 毅)

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コラム交通事故と救急医療体制

済生会横浜市東部病院救命救急センター医長 山崎元靖

 日本で高速道路の建設が始まり、一般市民に自家用車が普及しはじめたのは、東京オリンピックが開催された昭和30年代でした。全国の年間交通事故発生件数が昭和30年ころは約10万件であったのに、昭和40年ころには約56万件にまで急速に増加したことからも、いかにモータリゼーションの波が急速であったかがわかります。

 警察庁によると昭和40年ころの交通事故による年間死亡者数は約1万3000人です。平成20年の年間交通事故発生件数76万6147件、死亡者数5155人と比較すると、これがすさまじい数字であることが理解できるでしょう。道路整備、交通規則整備が不十分で交通マナーが悪かったことも否めませんが、救急医療体制の不備も大きな問題であり、「交通戦争」とまで表現されていました。

 交通事故患者の増加を念頭に置いて、昭和38年に消防法の改正により救急搬送業務は消防の業務と定められ、昭和39年には搬送先として救急病院など(いわゆる救急告知病院)を定める厚生省令が制定されました。昭和40年には交通事故による重症外傷患者の診療を目的として、済生会神奈川県病院に交通救急センターが開設されました。今日の救命救急センターの原型のようなものです。

 昭和51年の厚生省・救急医療懇談会による「当面とるべき救急医療対策について」という報告書を受けて、全国に救命救急センターが整備されはじめ、現在では全国に約210カ所の救命救急センターが設置されています。まさに、日本の救急医療の歴史は、交通事故の歴史でもあるのです。

 交通事故による年間死亡者数は昭和45年の1万6765人をピークに一度減少し、昭和54年には8466人になりました。しかし、平成に入るとまた増加し、平成4年には1万1451人になりました。その後、再び減少して平成20年には5155人となっていますが、法整備、道路環境の整備、車体の改良、シートベルト、エアバッグ、チャイルドシート、ヘルメットの普及などが原因として考えられます。

 救急医療の整備ももちろん貢献していると考えられていますが、Preventable Trauma Death(防ぎ得た外傷死)が、まだ多く存在すると予測されている現状では、さらに救急医療体制を整備すれば、より多くの命が救えるのではないかと考えられており、そのための努力が今も進行しています。

 とくに、平成13年度から開始されたドクターヘリ事業は平成21年現在、15施設で運用されるまでになり、さらなる整備も計画されており、よりいっそうの救命が期待されています。

病的骨折に関する医師Q&A