遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)とは
「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC;Hereditary Breast and Ovarian Cancer)」とは、遺伝子の病的バリアントを生まれつき持っていることが原因でがんに罹患しやすい体質を指します。遺伝性乳がんの約半数の患者さんで、BRCA1遺伝子もしくはBRCA2遺伝子(以下、BRCA1/2遺伝子)に病的バリアントが認められます2)。
BRCA1/2遺伝子の病的バリアントとがん発症のしくみ
BRCA1/2遺伝子は誰もが持っている遺伝子で、からだの設計図(DNA)を正しい情報のまま維持する役割を担っています。DNAは紫外線や化学物質などの刺激によって傷つきますが、BRCA1/2遺伝子などの働きで修復されます。しかし、BRCA1/2遺伝子に病的バリアントがある場合は、うまくDNAの修復ができなくなるために、乳がんや卵巣がんを発症しやすくなります3)。
BRCA1/2遺伝子の病的バリアントと遺伝性乳がんのリスク
BRCA1遺伝子の病的バリアントは、母親もしくは父親から子どもへ50%の確率で受け継がれます3)。日本ではBRCA1遺伝子に病的バリアントがある人は0.04%、BRCA2遺伝子では0.17%の頻度で存在すると推定されています4)。