質問1
正直、「COVID-19はもう終わった」、「ただの風邪」という感覚です。
今も警戒する必要はありますか?
回答
流行は今も起きています。
今後も警戒と対策を続けることが大切です。
COVID-19は「もう終わった感染症」ではなく、度々流行しています1,2)。これまで、夏や冬に感染者が増える傾向があり2)、2025年の夏にも感染者数が増えました3)。新型コロナウイルスの新しい変異株は今も繰り返し出現しており、免疫をすり抜けるリスクが指摘されています1,2,4)。
また、2024年のCOVID-19による死亡者数は3万5千人を超え2,5)、インフルエンザの約12.6倍となっています5)。
後遺症も大きな問題です。入院歴がある方の約3人に1人が1年後も症状を抱えており、倦怠感や息切れに加え、「ブレインフォグ」と呼ばれる認知機能への影響も報告されています6)。
つまり、COVID-19は、今も私たちの生活に悪影響を及ぼし続けています。
参考文献 :
- 1) 一般社団法人日本感染症学会 他: 2025年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解. 2025年9月1日
- 2) 一般社団法人日本感染症学会 他: 2025年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解(概要版). 2025年9月1日
- 3) 厚生労働省/国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所. Infectious Diseases Weekly Report Japan 2025; 27(24): 1-34.
- 4) Kaku Y, et al. Lancet Infect Dis 2024; 24(2): e82.
- 5) 厚生労働省:人口動態統計月報(概数)
- 6) 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント 第3.1版
質問2
新型コロナウイルスは弱毒化していて、もう罹っても大したことがないという話を聞いたことがあります。
実際どうなんでしょうか?
回答
「もう罹っても大丈夫だよね?」とは言えません。
特に高齢者や基礎疾患を持つ方にとって、COVID-19は今も命にかかわる感染症です。
COVID-19で亡くなった方を年齢別に検討すると、65歳以上が97%*でした5)。また、重症化リスクは30代と比較して、60代で25倍、70代で47倍、80代で71倍といわれています7)。さらに、ご高齢の方では自宅療養や入院を余儀なくされると、食事や着替えといった身の回りのことを自ら行う力が低下し、寝たきりにつながることがあります(「廃用症候群」と呼ばれる状態です)8,9)。
基礎疾患の有無も重要です。2021年4月1日~2021年6月30日にCOVID-19を発症した0~110歳の患者さんを対象とした調査では、基礎疾患がない場合はCOVID-19による死亡率が0.4%であるのに対し、基礎疾患(重症化リスク因子)があると2.3%(約50人に1人が亡くなる計算)でした。各重症化リスク因子の死亡率は、慢性腎臓病で14.0%、慢性閉塞性肺疾患(COPD)で10.2%、がんで8.4%、糖尿病で4.8%でした10)。
*2024年1~4月のデータ
参考文献 :
- 5) 厚生労働省:人口動態統計月報(概数)
- 7) 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識 (2023年4月版)
- 8) Kinugasa Y, et al. JMA J 2023; 6(4): 416-425.
- 9) 東京都保健医療局:『日常生活動作(ADL)を向上させるための患者指導マニュアル』
- 10) 厚生労働省:第49回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (令和3年8月25日) 資料4-3